東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は大幅反発となりました。81円高の30,089円で寄り付いた日経平均は直後に55円高の30,064円までやや上げ幅を縮めた後切り返すと取引開始から10分弱で193円高の30,201円まで上昇しました。その後一旦伸び悩みましたが、10時50分頃から一段高になると11時20分前に370円高の30,378円まで上昇し339円高の30,347円で前場を終えました。
326円高の30,334円でスタートした後場の日経平均は14時20分に285円高の30,293円までやや弱含んだ後引けにかけて上げ幅を広げると結局373円高の30,381円で取引を終え高値引けとなっています。また、TOPIXも反発し年初来高値を更新したほか、新興市場も堅調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って上昇となり、日経ジャスダック平均は年初来高値を更新しています。
2.個別銘柄等
上期決算を発表した積水ハウス(1928)が3.9%高となりました。新型コロナウイルス禍で在宅時間が増えて住まいへの関心が高まり国内外で受注が好調で通期の営業利益の見通しを2000億円から2200億円に上方修正したことで大幅高となりました。
クレハ(4023)も4.3%高となり年初来高値を更新しました。2024年夏に中国で新工場を建設し車載リチウムイオン電池の正極材に使うフッ化ビニリデン樹脂の生産能力を現在の2倍となる年2.1万トンに高めると伝わったことが材料視されました。新生銀行(8303)も20.8%上昇しストップ高となりました。SBIホールディングス(8473)が1株当たり2,000円で新生銀行に対してTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表したことで買いを集めました。SBIホールディングスも7.6%高となっています。
また、投資判断と目標株価の引き上げに反応したのがルネサスエレクトロニクス(6723)と東洋水産(2875)で、ルネサスエレクトロニクスが6.0%高、東洋水産が5.2%高となり、ルネサスエレクトロニクスは年初来高値を更新しています。一方でエーザイ(4523)が8.7%安となりました。米バイオジェン(BIIB)と共同開発するアルツハイマー型認知症治療薬について、バイオジェンの最高経営責任者(CEO)が発売当初の動きが想定より鈍いと発言したことが嫌気されました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は特別清算指数(SQ)に絡んだ買いなども入り上昇して始まると大きく上げ幅を広げ373円高となりました。
昨日時点での25日移動平均線との乖離率が6%台半ばの水準で、東証1部の騰落レシオも127%となるなど短期的な過熱感が依然として強いなかで昨日の米国市場が下落となったにも関わらず大幅高となったうえに、高値引けとなったことから地合いの強さを改めて印象付ける一日となりましたが、こうしたなかで来週は2月16日に付けた年初来高値(30,467円)を上回ることができるかがポイントとなりそうです。なお、日本時間の21時30分には8月の米卸売物価指数(PPI)が発表される予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)