先週末英国でG20(20カ国・地域財務相・中央銀行総裁会議)がありました。大きなサプライズはなかったものの、財政出動による景気刺激策の重要性の認識の一致などからけっして「期待はずれ」なものではなく、本日の株式市場もそうした反応を示しています。
株式市場は景気の先行指標といわれます。ただ、確実に将来が予想・予測されたものであったり、ましてや景気の行く末を約束するというわけではありません。
先週半ばからの米国株式市場の反発は、米シティグループCEOのコメント(正式なものではなく社内向けのものが漏れ伝わった)がきっかけでした。ニュースでは「財務懸念が後退・金融不安が払拭」と書かれています。といっても財務体質が一夜にしてガラリと変わったというわけではもちろんないわけですから、ある種の楽観マインド・期待感が市場を支配した結果といえるでしょう。 ご存知のとおり、日本株市場は基本的には米国株市場との連動が強いため、そうした米国発の騰落に同調することが多いものです。(先週は必ずしもそうとは言えませんでしたが)
週末のG20の結果、および東京をはじめとするアジア市場の動きを受けて、本日の米国株式市場も好反応する期待は高いところです。このまま米国株式市場が本格回復に向かっていく可能性はありますが、一本調子の上げはないこと、早い上昇には必ず「調整」の下げがあることを意識しておくことは大切です。
私自身は現在の市場に対して悲観論者というわけではないのですが、先進諸国における景気の本格回復はまだ少しかかるものと見ています。
長期的な視野に立ってみれば、現在の株式市場のレベルで「買い」にシフトしていくことはそろそろ良いタイミングであるという考え方に賛成です。ただ短期的に「勝負に出る」・・・余裕資金以外での投資やレバレッジをかけた投資・・・を行おうとされている場合は、大きなチャンスもあるかもしれませんが、リスクが大きく、状況を冷静によく判断する必要があると思います。
値動きが激しい相場の中で、いかに「損切り」されないで、上値を追えるかということには多くの方が関心をもっていることでしょう。
現在毎週月・水・金18:00~に行っているオンラインセミナーの『チャット駆け込み寺』にもそうした質問が寄せられます。
http://www.monex.co.jp/Etc/topslide/guest/G100/seminar/refuge_temple.htm あくまで一般論ですが、先週のそうした質問に対するコメンテーターの回答の中に相場の動きの激しいボックス相場のときは、
・例えば損切り1、利食い3の(割合)幅を少し大きめに設定する
・損切りされずに相場が上昇してきたときは、損切り、利食いのポイントを切 り上げておく
といった調整を比較的細やかにしていくというアドバイスがありました。 相場のトレンドにあわせて注文方法を変えていくことは、投資による【大失敗】を回避するためにも大切ということですね。
廣澤 知子
マネックス証券 シニア・フィナンシャル・アドバイザー