先週 出産~幼児期までの子供にかかるお金について書きました。
今週は本格的にお金がかかる教育費、養育費等について取り上げたいと思います。子供にどんな教育を受けさせるか、この差は想像以上に大きなものとなってきます。

なお、以下で扱う「平均値」は調査対象・エリアによって異なってきます。AIUの「現在子育て考」は東京都を中心としたデータになっており、金融広報中央委員会の「知るぽると」の「暮らしと金融なんでもデータ」
(http://www.shiruporuto.jp/finance/tokei/stat/pdf/data04.pdf)のデータは全国平均ということで、同様の項目であっても多少の違いがありますのでお含みおきください。

子供にかかる教育費・その他(子供の大学卒業(22歳)まで)。
親の責任として、義務として、子供を養育・教育していきます。教育費については詳しくは後述しますが、その他にも当然のことながら食費、被服費、保険医療費、これら以外に理美容費(子供もちょっと大きくなると美容院や床屋に行きます!)、交際費(お誕生日会、児童会、クリスマス会等のプレゼント交換その他もろもろ)、お稽古費、お小遣い、そしておもちゃやゲームを含む私的所有物費!などなど・・・さまざまな、そして結構なお金がかかります。
まず基本的な養育費ですが、AIUの「現在子育て考」2005年版のデータによると、産まれてから大学卒業までの22年間をみたとき約1,550万円とあります。その内訳は以下です。
 食費          ・・・ 約671万円
 被服費         ・・・ 約141万円
 保険医療・理美容費   ・・・ 約193万円
 お小遣い費       ・・・ 約451万円
 私的所有物費      ・・・ 約93万円

こちらに教育費が別途かかります。教育費は子供を行かせる学校が公立か私立かで大きく異なります。AIUの「現在子育て考」2005年版のデータ(前述のお稽古費は教育費に入っています)で見てみますと、例えば下記のような差が出てきます。(大学は自宅から通学の場合:仕送り等は算入されていません)
幼稚園から大学まで公立(大学は国立)      ・・・  1,345万円幼稚園は私立、小中高校は公立、大学は私立(大学は私立文系) 
                        ・・・  1,540万円小学校だけ公立、あとは大学まで私立(大学は私立医・歯系)・・ 4,424万円
前述の養育費とあわせるとマイホームが買える?と思うほどの金額になりますね。これを見て、子供をもつことは無理!と思った方、ちょっと待ってください。
これらはけっして一度に支払うものではありません。22年間という長期間の中で徐々にかかってくるお金ですので、きちんと計画性をもって準備していけば、そして無理な選択さえしなければ誰にでも対処はできるものです。前回も書きましたが、様々な公的援助もあります。

ちなみに上記データにおいては、私立小学校へ行く進学率は首都圏においても5%弱ということでここでは取り扱われていませんでしたが、2001年の同調査によると、公立小学校6年間で約276万円に対し、私立小学校6年間では約777万円と3倍近い差がありました。

投資や運用を長期的な視野にたって行うことの必要性をいつもお話ししていますが、特にこのようにライフプランが明確になっている場合(しかも途中で放り投げてしまっては困るライフプラン)は、金融商品の選択も無理や無茶をしないように気をつけたいものです。
子供の誕生にあわせて積立を開始する、子供の入学等の時期に満期がくるように債券を購入する(ゼロクーポン債のようなタイプであれば、購入時の資金は少なくすみます)等現在の生活に大きな負担がないように、同時に将来困らないように運用に取り組んでいくとよいですね。

廣澤 知子
マネックス証券 シニア・フィナンシャル・アドバイザー