お金を貯める方法・増やす方法は、「収入を増やす」「支出を減らす」「お金に働いてもらう」の3つしかありません。いずれも大切であり、全て実践することで堅実にお金が増えていきます。
今回は、「キャリア形成」と並行して、お金を増やすためにやっておきたい「資産形成」について、一緒に考えていきます。
スキルアップ・転職しても「理想の年収」に届かない可能性があることを知る
マイナビ転職「キャリアトレンド研究所」が実施した「転職による年収アップの実態調査」(※)には、「理想と現実の年収ギャップ」という項目があります。20代が33万円、30代が68万円、40代が316万円、50代が59万円となっています。
20代以降、理想と現実の年収ギャップは拡大していき、40代は316万円と最も大きくなります。40代は、知識を蓄え経験も積み、社内での地位もある程度高く、中核を担う人材になっている年代です。自身のスキルや会社の貢献度を踏まえると、求める年収が相応に高くなるのは当然の流れだと思いますが、そこまで高い給与をもらえていないのが現実でしょう。
子育て世帯であれば、40代は養育費や教育費がかさむ時期なので、相応の年収を求めている人が多いということもあるのかもしれません。
「収入を増やす」には自分磨き・自己投資が重要ではありますが、実践してもすぐに年収が上がるわけではありません。また、転職したからといって、すんなり年収アップは厳しい現実であることは頭に入れておきたいところです。
キャリア形成と同時に金融資産での資産形成もスタートする
「理想の年収に現実の年収はなかなか追いつかない」という事実をあらかじめ知っていれば、「リスク分散」「収入経路を増やす」「レバレッジ」「インフレ対策」という観点で、金融資産での資産形成に早くから着手した方がいいことがわかります。
なかでも「レバレッジ」という考え方は重要です。投資用語として使われるレバレッジには、少ない金額で多額の資金を動かすという意味がありますが、ここでは、「自分だけでなくお金自身にも働いてもらうこと」を指しています。
また、株・投資信託など、長期的な成長が期待できる金融資産への投資はインフレ対策にもなります。働いている時間や寝ている間でさえもお金を稼ぐことができ、手取りを増やすことができます。
金融資産での資産形成は早く始めるほど有利です。「複利効果(再投資効果)」を活用するのが鍵です。
複利効果(再投資効果)とは、利息や運用益が次の利息や運用益を生み出していくことです。この複利効果(再投資効果)は時間をかければかけるほど、お金が増えるスピードが増していきます。つまり、20代・30代と若い頃から、少額からでも良いので投資をスタートすることで、40代の頃には一定の金融資産を築けている可能性が高くなります。そうなれば、仮に理想の年収に届いていなくても、生活への不安は軽減でき、将来のリスクに備えられるでしょう。
お金を減らさずに増やす「長期」「積立」「分散」投資
投資をする以上、リスクをゼロにすることはできません。しかし、リスクを抑えながらお金を減らさずに増やすことは目指せます。誰もができる再現性のある方法が「長期・積立・分散投資」の実践です。
元本割れのリスクを軽減する「長期投資」
長期投資のメリットは、複利効果(再投資効果)を味方にしながら、堅実な利益を目指せることです。長く持ち続けることで、元本割れのリスクを下げながら堅実にお金を増やす期待が高まります。
元本割れをせずに増やすには、どれくらいの期間が目安となるのか。投資の名著とされる『ウォール街のランダム・ウォーカー』(バートン・マルキール著/日本経済新聞出版社)によれば、「15年以上」という目安が示されています。
上図はS&P500に1年間~25年間投資した場合の年平均リターンの散らばり方(ブレ幅)を示したものです。プラスは利益、マイナスは損失が出たことを表します。投資期間が5年間の場合は、年28.6%のリターンがあった時期もある一方で、年-2.4%のリターンがあった時期もあることがわかります。
しかし、投資期間が15年以上になると、1950年から2020年において、どの15年、20年、25年の期間をとっても、マイナスのリターンがありません。つまり元本割れをしていないことを示します。あくまでも過去データの分析であり、将来必ず利益が出ることを保証・予測するものではありませんが、「15年以上」長期投資を続けると、元本割れせずに増やせる可能性が高いと言えるでしょう。
平均購入価格を平準化する「積立投資」
積立投資のメリットは、まとまったお金がなくても投資が始められることと、投資タイミングを考えずに淡々と資産形成ができることです。金融機関によっては月々100円といった少額から始めることができます。
毎月一定金額で同じ商品を買い続けること(ドルコスト平均法)で、価格が高いときには自動的に購入量が少なくなり、価格が安いときには購入量が多くなります。そのため、平均購入価格が平準化される(ならされて安定しやすくなる)効果も得られます。平均購入価格が下がると、その後少しの値上がりでも利益を出しやすくなります。積立投資は、値動きとうまく付き合える方法だといえます。
資産全体としての価格変動リスクを軽減する「分散投資」
分散投資は、「値動きの異なる」資産に投資することです。ある資産が値下がりしても他の資産の値上がりでカバーすることができ、資産全体としての価格変動リスクを減らせます。
一般的に、株式と債券の値動きは逆の関係にあります。また、株と金(ゴールド)の値動きも逆の関係にあります。これらの資産を組み合わせると、資産全体の価格変動リスクを抑えながら、堅実なリターンを目指しやすくなります。
金融庁「はじめてみよう!NISA早わかりガイドブック」には、1989年以降、毎月同じ金額ずつ国内外の株式と債券に積立投資した場合の年間収益率が紹介されています。
積立・分散投資の期間が5年だと投資収益率はブレが大きく、時期によっては損失が出ていることがわかります。しかし積立・分散投資を20年行った場合は元本割れすることなく、年率2~8%で増やせていることがわかります。
あくまでも過去データの分析であり、将来必ず利益が出ることを保証・予測するものではありませんが、積立・分散投資を「20年」以上続ければ、元本割れせずにまとまった資産を築ける可能性が高いと言えるでしょう。
若いうちは「自己投資を優先すべき」「金融資産への投資を優先すべき」という議論は意味がない
「若いときにお金を使うべきは“経験”で、それが最大のリターンを生む。NISA・iDeCoに金を使っている場合じゃない」という意見をSNSやテレビを中心に目にすることがあります。
ここまで投資が一般化する以前は、投資の手段も限られ、良い運用商品も少なく、バブルの頃(1980年代後半~1990年代前半)までは右肩上がりで年収が上がっていく時代でしたので、経験への投資(自己投資)の方がリターンは大きかったでしょう。しかし、今は違います。理想の年収に追いつくのが難しい時代です。
「経験への投資からすべき」という考えの人たちに物申したいのは、「金融資産への投資」も自己投資になるという事実です。
自分自身の大切なお金を、株や投資信託といった金融資産に投じると、これまで素通りしていた経済ニュースが目や耳に入りやすくなります。脳というのは、疲れないように不要な情報をシャットダウンするようにできているので、興味のない情報は素通りするようになっています。
自分の大切なお金を金融資産に投資していると、
・日本の経済政策、金融政策はどのようにマーケットに影響を及ぼすのか
・衆議院選挙やアメリカ大統領選挙は、マーケットにどのような影響を与えるのか
・税金や手数料は、運用成績にどれくらい影響があるのか
・なぜバブルが起こり、暴落が起こるのか
・株価が上がる企業と上がらない企業の違いはどこにあるのか
・世界が今後どうなっていくのか
などが知りたくなり、そうした知識も身についていきます。自然とそのようなニュースが目につくようになるわけです。
上で挙げたのは一部です。投資をすることでたくさんのことを学べ、そうして得られた知識・経験は自分を成長させる「自己投資」にもつながり、キャリア形成にも当然生きてきます。金融資産への投資は、自己投資にもなる優れものなのです。
なぜどちらかを優先しないといけないのでしょう。どちらも有用であることがわかっていて、人間の寿命は限られていることを考えると、どちらかだけを優先するのは馬鹿げています。
「リスク分散」「収入経路を増やす」「レバレッジ」「インフレ対策」という観点で、若いうちから経験への投資(自己投資・キャリア形成)に加えて、金融資産への投資もするのが正解です。
これからの人生で今日が一番若い日。長く続けるには早く始めることが大切です。今すぐ始めていきましょう。
※マイナビ転職「キャリアトレンド研究所」実施「転職による年収アップの実態調査」
https://tenshoku.mynavi.jp/knowhow/careertrend/20/
