東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は大幅に5日続伸となりました。米国株高を受けて82円高の28,626円で寄り付いた日経平均は取引開始から10分余りで168円高の28,711円まで上昇した後一旦伸び悩みましたが、前引けにかけて上げ幅を広げると前引け間際に292円高の28,835円まで上昇し243円高の28,787円で前場を終えました。

昼休み時間中に菅義偉首相が総裁選出馬を見送ると伝わったことで一段高となり524円高の29,068円でスタートした後場の日経平均は12時40分前に406円高の28,950円まで上げ幅を縮め節目の29,000円を割り込む場面もありましたが、その後29,000円台を回復し13時30分過ぎに606円高の29,149円まで上昇すると結局584円高の29,128円で取引を終えました。こうしたなか新興市場はまちまちで東証マザーズ指数が下落となった一方で、日経ジャスダック平均は上昇となっています。

2.個別銘柄等

外資系証券が強気の投資判断を付けたことで大手鉄鋼株が高く、日本製鉄(5401)が5.0%高となったほか、JFEホールディングス(5411)が6.5%高、神戸製鋼所(5406)も4.5%高となり、JFEホールディングスは年初来高値を更新しました。同じく外資系証券が強気の投資判断を付けた山崎製パン(2212)も大きく上昇し4.7%高となっています。

また、10-11月にワクチン接種が進んだ段階で緊急事態宣言の発令地域でも感染対策を施した飲食店での酒の提供を認めるなどの新型コロナウイルス感染症の流行地域での人の移動や行動の制限緩和をまとめた政府の行程表(ロードマップ)の原案が伝わったことで鳥貴族ホールディングス(3193)や串カツ田中ホールディングス(3547)などが買われ、鳥貴族ホールディングスが3.9%高となり、串カツ田中ホールディングスも7.0%高となりました。

さらに昨日の米国市場でハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数が史上最高値を更新した流れを受けて半導体関連株が堅調で、なかでもレーザーテック(6920)が7.9%高となり上場来高値を更新し東証1部で売買代金トップとなっています。ファーストリテイリング(9983)も2.0%高となりました。国内ユニクロの8月の既存店売上高が前年同月比38.9%減となったことで売りが先行し一時は2.0%安となる場面もありましたが、日経平均が後場に一段高となるなか指数寄与度が大きいこともあって後場に上昇に転じました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は584円高となりました。昨日の米国市場が雇用指標の改善を受けて上昇しS&P500株価指数とナスダック総合株価指数が史上最高値を更新したことから上昇してスタートすると、昼休み時間中に自民党臨時役員会で菅義偉首相が総裁選出馬を見送る意向を表明したと伝わったことで与党が選挙で負ける政治リスクが後退したとの見方から後場に一段高となり節目の29,000円を回復しました。また、TOPIXは2,000ポイントを回復し3月19日に付けた年初来高値(2,012ポイント)を更新しています。

ただ、日経平均が5日間で1,500円近く上げ節目の29,000円を回復したことや、25日移動平均線(27,798円)との乖離率も5%近くまで広がっていることもあってさすがに一旦は利益確定の売りが出やすいとみられます。こうしたなかで週明けも堅調な地合いを維持できるかがポイントとなりそうです。なお、日本時間の21時30分には8月の米雇用統計が発表されるほか、23時には8月の米ISM非製造業景況感指数が発表される予定で注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)