プロクター・アンド・ギャンブル(PG)決算:一株利益は1.13ドルで市場予想を上回る
企業概要
プロクター・アンド・ギャンブルは、1837年創業の日用消費財製造世界最大手の1社である。年間売上高は700億ドルを上回る。タイド(洗濯用洗剤)、シャ-ミン(トイレットペーパー)、パンテーン(シャンプー)やパンパース(おむつ)など21の高い知名度を持つブランドを有し、各ブランド製品の年間売上は全世界ベースで10億ドルに及ぶ。選択と集中を進め、最後まで保有していた食品ブランドのプリングルズ(ポテトチップス)を2012年にケロッグに売却した。連結売上高のおよそ55%は事業拠点を置く米州以外の地域が占め、また、新興国市場が同売上高のおよそ3分の1を構成している。
出所:銘柄スカウター米国株、Morningstar, Inc.
第4四半期(4月-6月期)実績
★売上高・・・前年同期比7%増の189.46億ドル(市場予想は184.34億ドル)
★1株当たり利益(一部項目を除く)・・・1.13ドル(市場予想は1.09ドル)
★純利益・・・前年同期比4%減の29.06億ドル(市場予想は27.55億ドル)
決算総括
4-6月期決算(第4四半期)では、1株利益、売上高とも予想を上回った。ヘルスケア部門の伸びが予想を大きく上回り全体に貢献した。同社は経済再開で人々が外出する中、翌期の巣ごもり需要は後退することを想定している模様だ。
今後の株価見通し
バイデン政権が推し進める最低賃金引上げにより購買力がついた消費者は、良く工夫された、使い勝手の良い、利便性が高い日用品の消費を増やすと考えられる。今回の好決算を受け、更なる上値追いとなろう。
メルク(MRK)決算:一株利益は1.31ドルで市場予想を下回る
企業概要
メルクは、循環代謝病疾患、がん、感染症など幅広い治療分野の薬剤を製造する医薬品会社である。がん治療薬の中では、がん免疫療法が成長分野で全社売上高への貢献度が高い。また、B型肝炎、小児疾患、および、子宮頸がん(HPV)、帯状疱疹予防薬などさまざまなワクチンも製造している。さらに、動物の健康のための医薬品の販売も手掛ける。地域別では、全社売上高の半分近くを米国市場が占めている。
出所:銘柄スカウター米国株、Morningstar, Inc.
第2四半期(4月-6月期)実績
★売上高・・・前年同期5%増の114.02億ドル(市場予想は111.96億ドル)
★1株当たり利益(調整後)・・・1.31ドル(市場予想は1.32ドル)
2021年度通期ガイダンス
★売上高・・・464-474億ドル(518-538億ドル、市場予想は466.6億ドル)
★1株当たり利益(調整後)・・・5.47-5.57ドル(従来予想は6.48-6.68ドル、市場予想は5.56ドル)
第2四半期売上高、調整済みEPSはともに予想を下回った。2021年度通期ベース調整済みEPSガイダンスレンジを引き下げ、予想を下回った。同売上高ガイダンスレンジの幅を狭め、予想を下回った。
今後の株価見通し
決算内容は不振だった。薬品株の中で同社株は出遅れている。80ドル超えから上値追いの展開を見込む。
マスターカード(MA)決算:一株利益は1.95ドルで市場予想を上回る
企業概要
マスターカードは、世界第2位の決済会社である。2020年度のカード購入総決済額は4兆8,000億ドルに上る。世界200ヶ国で150を超える通貨による決済処理を行っている。
出所:銘柄スカウター米国株、Morningstar, Inc.
第2四半期(4月-6月期)実績
★収入・・・前年同期比36%増の45.28億ドル(市場予想は43.78億ドル)
★1株当たり利益(一部項目を除く)・・・1.95ドル(市場予想は1.75ドル)
第2四半期決算は利益が36%増加し市場予想を上回った。事業が再開し始め、旅行が回復の兆しを見せるなど、世界的な消費回復が同社の業績を押し上げている。
今後の株価見通し
今回の好決算を受け、更なる上値追いとなろう。
シェブロン(CVX)決算:一株利益は1.71ドルで市場予想を上回る
企業概要
シェブロンは、世界中で探鉱、生産、精製事業を手掛ける総合エネルギー企業である。米国第2位の石油会社で、生産量は日量310万バレル(石油換算)である。これには日量730万フィートの天然ガスと日量190万バレルの石油が含まれる。生産活動は、北米、南米、欧州、アフリカ、アジア、オーストラリアで行われている。石油精製施設は、米国およびアジアに位置し、原油処理能力は日量180万バレルである。2020年末時点の確認埋蔵量は111億バレル(石油換算)で、61億バレルの石油および29兆9,000億立方フィートの天然ガスが含まれる。
出所:銘柄スカウター米国株、Morningstar, Inc.
第2四半期(4月-6月期)実績
★売上高・・・前年同期比179%増の375.97億ドル(市場予想は364.54億ドル)
★1株当たり利益(調整後)・・・1.71ドル(市場予想は1.61ドル)
★純利益(調整後)・・・前年同期比306%増の32.74億ドル(市場予想は30.50億ドル)
最終損益が30億ドルの黒字(前年同期は82億ドルの赤字)だった。米シェール大手ノーブル・エナジーの買収効果もあり、売上高が前年同期の2.3倍に増加した。市況の改善に伴い、年間20億-30億ドル規模の自社株買いを再開する方針を明らかにした。
今後の株価見通し
同社は増配を33年継続しており、配当貴族指数に組み込まれている。115ドル超えから、投資タイミングを図ることになろう。
アッヴィ(ABBV)決算:一株利益は3.11ドルで市場予想を上回る
企業概要
アッヴィは、免疫学や腫瘍学分野に主軸を置く医薬品企業である。現在、主力製品であるヒュミラによる利益が全体の利益の過半を占める。2013年初頭にアボット・ラボラトリーズから分社化された。最近のアラガンの買収によって、審美および女性医学分野での新薬が追加された。
出所:銘柄スカウター米国株、Morningstar, Inc.
第2四半期(4月-6月期)実績
★売上高・・・前年同期比34%増の139.59億ドル(市場予想は136.49億ドル)
★1株当たり利益(一部項目を除く)・・・3.11ドル(市場予想は3.08ドル)
★純利益・・・前年同期比13%増の43.95億ドル(市場予想は55.18億ドル)
第2四半期売上高、調整済みEPSがともに予想を上回ったが、粗利が予想を下回った。一方、2021年度通期ベース調整済みEPSガイダンスレンジを引き上げ、予想を上回った。
今後の株価見通し
治験の最終段階である第3相試験中の新薬が多い。予想PERは9倍程度、配当利回りは4%以上で、48年間連続増配の配当貴族株である。決算発表で利喰い先行の動きとなったが、116ドルレベルに支持線がある。じっくり保有したい銘柄と言えるだろう。