コロナと企業決算発表の綱引きが続く米国株式市場
7月19日(月)、米国ではワクチン接種者が増えたにも関わらず、新たにデルタ株の感染拡大の現状が嫌気され、市場のセンチメントは悪化、ダウ工業株指数は1日で2.1%急落、S&P500は1.6%下げて終わりました。この日の下げについては、航空株やクルーズ株が大きく下落しており、コロナ感染者数が増加することで新たに人の動きが止まり、経済活動にもストップがかかるという懸念が再浮上したのだと思います。ただし、翌日の7月20日(火)から23日(金)まで主要株価指数は連日上昇し、23日(金)にはNYダウ、S&P500、ナスダック総合指数の主要3米国株価指数は全て高値を更新しました。
株価上昇の理由は、企業の第2四半期が好決算だったためでしょう。
7月19日(月)に市場が下げた翌日からのマーケット参加者の焦点は、第2四半期の企業業績発表に移りました。先週末まででS&P500採用銘柄のうち24%が決算発表を終えていますが、EPSの伸びを見ますと前年同期比で119%の伸びとなっています。しかも90%の企業が事前予想を上回っています。これは前回第1四半期の80%を上回っています。勿論これまで発表された企業では…、ということですが。
2020年市場を牽引してきたITセクターについては、まだS&P500採用企業のうち16%しか決算発表をしていません。ITセクターの今回の決算については、2020年コロナ禍において他の業種と比べ業績の落ち込みがひどくなかったため、2020年同期からの変化率で見ると大きくないかもしれませんが、それでも堅調な決算発表をするだろうと考えています。
今週の市場のフォーカスはGAFAM+Tの決算発表
7月26日(月)はテスラ(TSLA)の決算発表です。注目は中国の販売活動でしょう。テスラは6月に中国で販売した30万台近くのテスラ車のリコールを行うと発表しましたが、その影響がどうなるか気になるところです。現在同社は、中国でモデル3とモデルYを生産していますが、2022年テスラにとって中国での売り上げは全体の4割を占めると言われています。
7月27日(火)はアップル(AAPL)、マイクロソフト(MSFT)、アルファベット(GOOGL)の大御所3社の決算発表が予定されています。アップルのフォーカスは、iPhone、iPad、Mac等のハードウエアの売り上げです。7月の半ばに次世代iPhoneの生産台数はiPhone12より2割増しとなるようだという憶測が出ていましたので、次世代iPhoneの生産台数について企業から何らかのガイダンスが出るか注目されます。
マイクロソフト(MSFT)のフォーカスは、Azureクラウド事業でしょう。
アルファベット(GOOGL)については、経済が再開する過程でデジタル広告への支出が増えているか要確認ですが、先週ツイッター(TWTR)も予想を上回る決算発表を行いましたので、アルファベットの決算も悪くないのではないかと思います。また、同社は年初に500億ドルの自社株買いを発表しましたが、その進捗具合も要チェックです。
7月28日(水)はフェイスブック(FB)の決算発表ですが、同社の注目ポイントはアルファベットと同じくデジタル広告が回復しているかです。
そして、7月29日(木)はアマゾン(AMZN)です。2020年のプライム・デーはコロナの影響で第4四半期に行われましたが、2021年は第2四半期に実施されたため、前年比の比較は楽になるはずです。
GAFAM+Tの決算発表のおさらいについては、7月30日(金)の夜8時からのYoutubeライブ「ハッチのGAFAM決算振り返り&ちょっと真面目なゆるトーク」で解説する予定ですので、ご興味ある方はぜひご視聴ください。
今週はGAFAM+T以外にも大型決算発表の予定が続く
GAFAM+Tに加えて今週は、ボーイング(BA)、マクドナルド(MCD)、スターバックス(SBUX)、ファイザー(PFE)、キャタピラー(CAT)、エクソン・モービル(XOM)と言った米国を代表するグローバル企業の決算発表が予定されています。米国経済だけでなく、世界経済回復の進捗状況がうかがえる週となるでしょう