東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は続落となりました。62円安の28,901円で寄り付いた日経平均は直後に31円安の28,932円まで下げ幅を縮めましたが、戻し切れないと取引開始から5分後には161円安の28,801円まで下落しました。その後やや持ち直し95円安の28,868円で前場を終えた日経平均は112円安の28,850円で後場の取引をスタートさせると28,800円台後半で小動きとなり結局102円安の28,860円で取引を終えています。こうしたなか新興市場はまちまちで東証マザーズ指数が上昇となった一方で、日経ジャスダック平均は下落となっています。
2.個別銘柄等
ロート製薬(4527)が一時5.4%高となりました。ボラギノールを製造・販売している天藤製薬を買収すると発表したことで業績拡大を期待した買いが優勢となりました。また、米バイオジェン(BIIB)と共同開発するアルツハイマー型認知症治療薬について米食品医薬品局(FDA)が承認申請を認めると発表したことで昨日にストップ高となったエーザイ(4523)は本日も買いを集め16.3%上昇しストップ高となり年初来高値を更新しています。農薬メーカーのクミアイ化学(4996)も8.9%高となりました。新規殺菌剤を含む水稲分野の出荷が好調に推移していることなどから2021年10月期の営業利益の見通しを73億円から83億円に上方修正したことが好感されました。さらに目標株価の引き上げに反応したのが日本航空(9201)とANAホールディングス(9202)で、日本航空が3.1%高、ANAホールディングスも3.4%高となり、ANAホールディングスは年初来高値を更新しています。ジャスダック市場では液晶ガラス基板加工の倉元製作所(5216)がコーニングジャパンと長期供給契約を結んだと発表したことで34.5%上昇しストップ高となっています。
一方で昨日に新たな中期経営計画が失望となり大幅安となったダイキン工業(6367)は投資判断と目標株価の引き下げを受けて3.0%安となり年初来安値を更新しました。暗号資産交換業者に出資するセレス(3696)も暗号資産のビットコインが一時31,000ドル台まで下げたことで3.8%安となっています。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は102円安となりました。昨日の米国市場が小幅に高安まちまちとなり新たな買い材料に乏しいことから売りが優勢となりました。また、節目の29,000円を上回ると伸び悩む展開が続き、29,000円を超えたところでの上値の重さが意識されていることも相場の重石になったといえそうです。こうしたなかで明日以降、買いが優勢となった場合には29,000円を超えて水準を切り上げ100日移動平均線(29,087円)や75日移動平均線(29,164円)を上回ることができるかが引き続きポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)