日経平均3万円を突破するカギとは

今週の東京株式市場はメジャーSQや来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)を控え、指数は上値の重い展開が予想されます。2月以降、日経平均の29,500円以上3万円未満の水準は60兆円程度の売買代金をこなしてきた価格帯でもあり、戻り待ちの売りが強くなることが予想されます。

5月第4週の投資主体別売買動向(現物・先物合算ベース)では、海外投資家が5,560億円を買い越したことが判明しました。2015年以降では6月は売り越す傾向にありますが、新型コロナワクチン接種の進展による経済再開への期待から、買い越し基調を続けるかが3万円突破のカギを握ることは間違いありません。

6月相場、30年平均と5年平均の比較

さて、図表は、日経平均の過去の6月相場の推移で、2020年までの30年平均と5年平均を掲載しています。5月末を起点とした1ヶ月の推移です。加えて、棒グラフは2021年6月に実際支払われる配当金の推移を合体させました。横軸は日付ではなく、日数表記になっています。

30年平均と長期になると凹凸は小さく、横ばいで終える推移となりますが、傾向的には後半まで弱含み、やや右肩下がりのイメージです。一方、ここ近年では、30年前などに比べて企業の配当金総額が数倍増加しているため、5年平均の短期間でみると配当の再投資効果による上昇もあってか、トレンドは右肩下がりですが、前半と後半に凹凸が大きくなる場面があるのが特徴的です。

【図表】日経平均の過去6月の推移と今年の配当金支払い額
出所:QUICK Astra ManagerよりDZHフィナンシャルリサーチ作成

6月4日付けの大和証券のリポートによると、6月の東証一部の上場銘柄の配当金総額は約5.7兆円に達し、2020年の3.8兆円から大幅に増加するようです。

配当の再投資に関しては、指数連動型のパッシブ運用を行う機関投資家は、3月末の配当落ちのタイミングで先物を買うことによってすでに再投資を行っていますので、市場への買い需要のインパクトはないに等しいと言えるでしょう。

機関投資家以外の個人やその他投資主体の再投資効果は見込めそうですが、同じ凹凸でも右肩上がりになるためには、海外投資家の買いが続くこと、米国株式市場が落ち着いていることなどが条件になるでしょう。