トヨタ自動車やソフトバンクグループなど、主力大型株の株価推移
2021年5月の物色を振り返ると、自動車関連株や金融株がハイテク株からの資金逃避の受け皿になっていることがわかります。5月24日現在、業種別の上昇率の順位をみると、トップの「ゴム製品」に次いで、「精密機器」「保険業」「銀行業」「輸送用機器(自動車を含む)」と続きます。
さて、図表は、TOPIXがバブル崩壊後の最安値となった2012年6月を起点に、主力大型株の株価推移を指数化したものです。東京エレクトロン(8035)やソニーグループ(6758)、ソフトバンクグループ(9984)は高値を着実に更新しながら上昇が続く一方、トヨタ自動車(7203)や三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)など、俗に言うバリュー株は出遅れが顕著です。
一方、5月18日には、トヨタ自動車の株価が2015年3月に付けた上場来高値を更新しました。今回の高値更新には、75ヶ月間と随分と長い時間を要し、前回2015年3月に2007年2月高値を更新するまでに要した98ヶ月間よりも短かったのですが、今後の株価推移を占う上で、当時とは全く意味が違うのです。
簡単にいうと、2007年高値から2015年高値までの間には、金融危機という大きなショック安などもあり、チャート上では大きな谷が形成され、1996年の水準まで安値を切り下げる動きになってしまいました。しかし、今回の高値更新までの間で形成した谷は相対的に浅く、このまま上昇が続くエネルギーが残っている可能性が高いと見ています。
数字で表すと、2007年高値からの調整後、2011年安値(2330円)から2015年高値(8783円)までは6450円程度上昇しました。それに対して、2015年高値からの調整後、2016年安値(4917円)から5月18日までは3,900円程度しか上昇していないため、高値更新後に上値追いが続く勢いがまだ残っている可能性が高いということです。
車関連は今後の上昇余地に期待
5月19日付けの日本経済新聞には、トヨタ自動車の株価が高値更新する中でも、2020年以降でみると海外のVWやGMに比べると上昇率が見劣りする、という記事が掲載されていました。
電動化に対する評価や将来に向けてのアピールの違いがパフォーマンスに表れているという論調でしたが、逆に言うと上昇余地が大きいと言えます。デンソー(6902)などの関連株も含めて、2020年まで上昇相場をけん引した値がさハイテク株のような動きになっていくことが予想され、当面は「ハイテク」から「車」への流れが続きそうです。