東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は米国株安を受けて大幅に3日続落となりました。218円安の27,929円で寄り付いた日経平均は取引開始から10分余りで555円安の27,592円まで下落した後9時20分過ぎに352円安の27,795円まで持ち直しましたが、再び下げ幅を広げ11時10分に613円安の27,534円まで下落すると518円安の27,628円で前場を終えました。447円安の27,700円でスタートした後場の日経平均は直後に389円安の27,757円まで戻した後下げ幅を広げ14時30分前に762円安の27,385円まで下落すると結局699円安の27,448円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も安く東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って下落し、東証マザーズ指数は2.8%安となり連日での年初来安値を更新しています。
2.個別銘柄等
セブン&アイ・ホールディングス(3382)が5.0%高となり年初来高値を更新しました。米国の有力アクティビスト(物言う株主)がセブン&アイ・ホールディングスの株式を取得したと伝わったことで企業価値の向上への期待が高まり買いを集めました。三井住友トラスト・ホールディングス(8309)も3.2%高となりました。持ち合い株式など政策保有株約1兆4000億円をゼロにする目標を表明すると伝わったことが材料視されました。
一方で昨日の米国市場でナスダック総合株価指数が2.7%安となったことで米ハイテク株に投資するソフトバンクグループ(9984)が7.8%安となったほか、日経平均が大幅安となるなかで指数寄与度の大きいファーストリテイリング(9983)も3.3%安となり、ソフトバンクグループとファーストリテイリングの2銘柄で日経平均を255円押し下げています。また、NEC(6701)も14.0%安となり年初来安値を更新しました。開発費など成長に向けた費用を積み増すことなどで2022年3月期の営業利益が前期比22.0%減の1200億円になるとの見通しを発表し市場予想も下回ったことが嫌気されました。オンラインゲームのネクソン(3659)も14.3%安となり年初来安値を更新しました。第1四半期の営業利益は前年同期比4.3%増となり会社計画を上回って着地しましたが、上期の営業利益の見通しが減益予想となったことで売りがかさみました。仮想通貨交換業者に出資するセレス(3696)も12.7%安となりました。米テスラ(TSLA)のイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が車の購入に暗号資産のビットコインを使用するのを停止したとツイートしたことでビットコインが急落し大幅安となりました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は699円安となりました。4月の米消費者物価指数(CPI)が2008年9月以来12年7カ月ぶりの高い伸びとなり米長期金利が上昇したことを受けて幅広い銘柄に売りが出て昨日の米国市場が大きく下げたことで大幅安となりました。一昨日にサポートとみられていた75日移動平均線や100日移動平均線を割り込んだ後に大きな下げが続いていることから下値への警戒感が急速に高まっているとみられますが、この3日間で2,000円以上下げたうえに25日移動平均線との乖離もマイナス6.1%まで広がっていることから明日以降の切り返しに期待したいところです。
なお、本日も引け後にスズキ(7269)やニコン(7731)、三菱地所(8802)、楽天グループ(4755)などが決算を発表する予定です。また、日本時間の21時30分には米新規失業保険申請件数や4月の米卸売物価指数(PPI)などが発表される予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)