東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は大幅反発となりました。日経平均は211円高の29,024円で寄り付くと直後に153円高の28,966円まで上げ幅を縮めましたが、直ぐに切り返すと上げ幅を広げ11時10分過ぎに617円高の29,430円まで上昇し578円高で前場を終えました。503円高の29,316円でスタートした後場の日経平均は14時に453円高の29,265円まで上げ幅を縮めた後大引け間際に550円高の29,362円まで戻すと結局518円高の29,331円で取引を終えています。こうしたなか新興市場はまちまちで東証マザーズ指数が下落となった一方で、日経ジャスダック平均は上昇となっています。
2.個別銘柄等
日本製鉄(5401)が7.5%高となり年初来高値を更新しました。2022年3月期の本業のもうけを示す事業利益が前期会社推定の300億円から急回復し3000億円台が視野に入りそうだと伝わったことや、4日の米国市場で鉄鋼需給が改善し販売価格が上昇するスーパーサイクルにより今後数年にわたって収益が改善するとの指摘を受けて鉄鋼大手のUSスチール(X)が大幅高となったことなどを受けて買いを集めました。JFEホールディングス(5411)と神戸製鋼所(5406)も高く、JFEホールディングスが8.0%高、神戸製鋼所も6.6%高となりこちらも揃って年初来高値を更新しています。JT(2914)も一時5.0%高となりました。海外たばこ事業で主力ブランドの販売が伸びたことなどで第1四半期の営業利益が前年同期比で24%余りの増益となったことが好感されました。また、住友金属鉱山(5713)もロンドンの銅3カ月先物価格が10年3カ月ぶりの高値を付けたことで7.1%高となっています。
一方でKADOKAWA(9468)が7.5%安となりました。2021年3月期の営業利益は新型コロナウイルスの感染拡大で巣ごもり需要が膨らみ電子書籍が好調で最高益を更新しましたが、2022年3月期の営業利益の見通しが市場予想に届かなかったことで売りがかさみました。日本M&Aセンター(2127)も2022年3月期の営業利益の見通しが小幅な増益に止まり市場予想を下回ったことで3.0%安となっています。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は518円高となりました。昨日の米国市場でダウ平均が3日続伸となり史上最高値を更新したことから買いが優勢となりました。上げ幅を広げ大幅高となったことで75日移動平均線(29,248円)を上回りましたが、その一方で一目均衡表の雲の上限(29,433円)前に上値が押さえられると上げ幅を縮めました。決算発表が今後一段と本格化しますが、こうしたなかで一目均衡表の雲を上に抜けてさらに戻りを試すことができるかがポイントとなりそうです。なお、本日も引け後に任天堂(7974)などが決算を発表する予定です。また、日本時間の21時30分には週間の米新規失業保険申請件数が発表される予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)