東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は反落となりました。日経平均は57円安の28,996円で寄り付いた直後に7円安の29,046円まで持ち直した後下げ幅を広げ取引開始から10分余りで159円安の28,894円まで下落しましたが、切り返すと9時50分過ぎには32円安の29,021円まで戻しました。しかし、節目の29,000円を上回ったところでは上値が重く再び下げ幅を広げると前引け間際に168円安の28,885円まで下落し145円安で前場を終えました。158円安の28,895円でスタートした後場の日経平均は13時10分頃からさらに下げ幅を広げ14時30分過ぎに293円安の28,760円まで下落した後引けにかけてやや戻すと結局241円安の28,812円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も軟調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って下落となっています。

2.個別銘柄等

日立(6501)が5.3%高となりました。2022年3月期の営業利益が前期比5割近い増益となる見通しを発表し、市場予想も上回ったことで買いを集めました。上場子会社の日立金属(5486)も11.9%高となり年初来高値を更新しました。日立金属の売却先が米投資ファンドのベインキャピタルや日本産業パートナーズなどで構成する日米ファンド連合に決まり、1株当たり2,181円でTOB(株式公開買い付け)を実施することになったことから急伸しました。サイバーエージェント(4751)も15.3%高となり上場来高値を更新しました。上期決算を発表しインターネット広告事業や2月にリリースした育成型ゲームなどが好調で通期の業績予想を上方修正したことが好感されました。また、2022年3月期の営業利益の見通しが市場予想を上回った富士通(6702)やヤマトホールディングス(9064)も高く、富士通が7.5%高となり年初来高値を更新したほか、ヤマトホールディングスも3.8%高となっています。さらに資生堂(4911)も4.9%高となりました。売り上げが低迷していたイタリアの高級ファッションブランド「ドルチェ&ガッバーナ」とのライセンス契約を2021年末に解消すると発表したことが材料視されました。

一方でソニーグループ(6758)や村田製作所(6981)が2022年3月期の営業利益の見通しが市場予想に届かなかったことで売られ、ソニーグループが7.7%安、村田製作所が3.5%安となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は241円安となりました。明日からの5連休を前にポジション調整の売りが出やすいなかで、決算発表を受けて大幅安となったソニーグループを初め、東京エレクトロン(8035)やダイキン工業(6367)、ファナック(6954)など指数寄与度の大きい銘柄の下げも重石となり売りが優勢となりました。このところ上値の重い展開が目立ちますが、大型連休明け以降に決算発表がさらに本格化するなかでこうした傾向に変化がみられるかがポイントとなりそうです。

なお、本日も引け後にコマツ(6301)や東京エレクトロン、ANAホールディングス(9202)などが決算を発表する予定です。また、日本時間の21時30分に3月の米個人所得・個人消費支出(PCE)が発表されるほか、22時45分には4月の米シカゴ購買部協会景気指数(PMI)が、そして23時には4月の米ミシガン大学消費者態度指数確報値が発表される予定です。さらに30日の米国ではシェブロン(CVX)やエクソンモービル(XOM)などが決算発表を予定しています。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)