東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は先週末の米国株高を受けて反発しました。74円高の29,095円で寄り付いた日経平均は直後にマイナスに転じ9時40分過ぎに124円安の28,896円まで下落しましたが、切り返すと10時過ぎにプラスに転じ10時50分前に139円高の29,160円まで上昇し74円高の29,095円で前場を終えました。115円高の29,136円でスタートした後場の日経平均は77円高の29,098円まで上げ幅を縮めた後13時過ぎに220円高の29,241円まで上昇しましたが、その後上げ幅を縮めると結局105円高の29,126円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も堅調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って上昇となっています。

2.個別銘柄等

ANAホールディングス(9202)が5.8%高となりました。運航規模の抑制による変動費の削減や機材費・販売費をはじめとしたコスト削減を徹底したことにより2021年3月期の営業損益の赤字額が5050億円から4650億円に縮小しそうだと発表したことが好感されました。東京製鉄(5423)も一時16.5%上昇しストップ高となる場面がありました。世界的な鋼材需要の拡大がけん引し2022年3月期の営業利益が市場予想を大きく上回る前期比3倍の120億円になりそうだとの見通しを発表したことで買いを集め年初来高値を更新しています。キヤノンマーケティングジャパン(8060)も2.9%高となり年初来高値を更新しました。第1四半期の決算を発表し在宅勤務の需要などでインクジェットプリンターが引き続き好調に推移していることなどから通期の営業利益の見通しを325億円から340億円に引き上げたことが評価されました。ホンダ(7267)も一時3.4%高となりました。2030年に世界の新車販売の3分の2を電動車にするとしていたこれまでの方針を変更し、2040年までに世界での新車販売全てを電気自動車と燃料電池車に切り替えると発表したことが材料視されました。

一方でエムスリー(2413)が5.8%安となりました。2021年3月期の営業利益は前期比で70%近い大幅な増益となりましたが、2022年3月期の業績予想を未定としたことが嫌気されました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は105円高となりました。キャピタルゲイン課税増税への懸念が後退したことや良好な経済指標を好感して先週末の米国市場が反発したことから買いが優勢となりました。しかし、朝方にマイナスとなる場面があったうえ、伸び悩むと75日移動平均線(29,196円)を引けで上回ることができませんでした。安川電機(6506)や先週末の日本電産(6594)に続いて本日はエムスリー(2413)が大幅安となるなど、決算発表後に株価が大きく下がるケースが続いていることから決算発表後の株安が警戒されているとみられますが、明日から一段と決算発表が本格化するなかでこうした株価の反応に変化がみられるかがポイントとなりそうです。

なお、本日も引け後に日東電工(6988)やキヤノン(7751)などが決算を発表する予定で、26日の米国でも電気自動車のテスラ(TSLA)が決算発表を予定しています。さらに明日は昼頃に日銀の金融政策決定会合の結果が発表される予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)