東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株高を受けて反発しました。日経平均は156円高の29,865円で寄り付くとまもなくして355円高の30,064円まで上昇しましたが、30,000円の大台を割り込み上げ幅を縮めると110円高の29,819円で前場を終えました。89円高の29,798円でスタートした後場の日経平均は13時30分過ぎに235円高の29,943円まで戻しましたが、その後引けにかけて上げ幅を縮めると結局59円高の29,768円と本日の安値で取引を終えています。こうしたなか新興市場も堅調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って上昇となっています。

2.個別銘柄等

ソニーグループ(6758)が一時3.3%高となりました。ソニーグループの映画会社が米ネットフリックス(NFLX)と米国で映画の独占配信契約を結び2022年から5年にわたり劇場公開後の映画を配信すると発表したことが材料視されました。USEN-NEXT HOLDINGS(9418)も急伸し11.0%高となり年初来高値を更新しました。上期決算を発表し動画配信サービス「U-NEXT」のユーザー数が伸びていることなどから通期の営業利益の見通しを110億円から155億円に上方修正したことで買いを集めました。また、コジマ(7513)やスリーエフ(7544)も急伸し年初来高値を更新しました。コジマは上期の営業利益が前年同期比で3倍と大幅な伸びとなったことや自社株買いを発表したことで8.1%高となり、スリーエフも大幅な営業増益となる今期見通しを発表したことで10.8%高となっています。

一方でファーストリテイリング(9983)が3.4%安となりました。買いが先行しましたが、上方修正した通期の営業利益の見通しが市場予想に届かなかったことでまもなくして下落に転じると下げ幅を広げました。東芝(6502)も5.4%安となりました。英投資ファンドによる買収報道を受けて7日にストップ高となりましたが、取締役会議長の検討には相応の時間を要し複雑性を伴うものと考えるとのコメントを受けて買収の実現には時間がかかるとの見方から売られました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は59円高となりました。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が金融緩和策を当面維持する姿勢を示したことにより長期金利が低下したことを受けてハイテク株に買いが入り昨日の米国市場が上昇したことから買いが優勢となり一時30,000円の大台を上回りました。今週は月曜日に30,000円を回復するとその後上値が重くなりましたが、本日も30,000円を付けた後に伸び悩みました。30,000円台をキープしてさらに上値を伸ばすことができるかが引き続きポイントとなりそうです。なお、2月決算銘柄の本決算発表が本格化していますが、本日も引け後に安川電機(6506)やイオン(8267)などが決算を発表する予定で、安川電機は今月下旬からスタートする3月決算企業の決算発表を占う先行指標となることから注目を集めそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)