前回コラムでは「エムスリー株」の株価動向がグロース株のカギを握る、といった話をしましたが、今回はもう少し詳しく市場の状況を分析してみます。

日経平均が年初来高値を付けた2月16日以降、先週末時点までの採用銘柄の騰落率上位をみると、下落率上位ではエムスリー、シャープ、日本製鋼所、Zホールディングス、ファーストリテイリングという順位となり、どちらかというとグロース株が多くみられました。

一方、上昇率上位では日本郵船を筆頭に、日立造船、川崎汽船、商船三井、三井E&Sという順位となり、海運、造船といった景気敏感のバリュー株が上位を占めます。4月はこういった銘柄の方向性に修正が起きるとみています。

理由としては、単純に期末を通過することによってバリュー系を中心とした配当狙いの買いなどが一巡することがあります。また、やはり極端に売られた、買われたことによって生じたテクニカル面での過熱感の影響の方が大きくなると思われるためです。

例えば、日本郵船は200日移動平均線から過去最高レベルのかい離水準を1ヶ月以上も続けていて、過熱感も強いため、まもなく調整が予想されます。週明けも日経平均が一時400円上昇する中で逆行安だったのが象徴的でした。逆に、エムスリーなどは約1年ぶりに200日移動平均線付近まで調整が進んでいて、ここから自律反発となれば、他のグロース株にも買いが波及する可能性があります。 

日銀がETFの買い入れ対象から日経平均連動型の除外を決めたことで、指数への影響度が大きいファーストリテイリング株も最近大きく下げており、逆に反発余地が強まったと判断できます。
そうなると、日経平均をTOPIXで割ったNT倍率にも影響することになりそうです。

【図表】NT倍率は200日移動平均線から反発なるか?
出所:Quick Astra ManagerよりDZHファイナンシャルリサーチ作成


NT倍率はこの1ヶ月間で200日移動平均線まで低下し、TOPIXが優位な局面にありました。一方、過去200日移動平均線から反発したケースもよくみられたことで、ここからグロース株への見直し買いが強くなれば、4月は日経平均の追い上げに期待できるかもしれません。