FOMC、日銀会合というイベントを通過した今週は材料難。引き続き米国長期金利の動向をにらみながら神経質な展開となろう。ただし、長期金利の上昇につながると懸念されていた問題を市場は無難に消化した。米銀のレバレッジ比率規制(SLR)の緩和特例が延長されるかに市場の注目は集まっていたが、米連邦準備理事会(FRB)はこの特例措置を延長せず、3月末で終了すると発表した。それにもかかわらず米国債は売られず金利は落ちついた動きとなり、ナスダックは反発した。当面の金利上昇リスクは回避された格好だ。

先週末、日経平均は大きく下げたが反対にTOPIXは9日続伸で昨年来高値を更新している。日本株相場全体では堅調さが見られる。日経平均が大幅安となったのは日銀が日経平均型ETF購入をやめると発表したからだが、そもそも日銀のETF買いで日経平均株価が3万円にまで上昇したのではないことを思い出せば、いまさら日銀が日経平均型ETF購入をやめたところで影響は極めて限定的だ。先週末は単なるトレーディングの材料にされただけで、いつまでも日経平均とTOPIXの動きが乖離し続けることはないだろう。

グロース株の調整にも一巡感が出てきた。先週末、キーエンスは大幅な陽線で25日移動平均を奪回。オービックもWボトムをつけ底入れが明瞭になっている。伊藤忠テクノソリューションズ、日本電産も同様だ。

首都圏の緊急事態宣言の解除で景気敏感株が買われやすいところに、グロース株の戻りも加われば循環物色で相場全体の底上げが図られていくだろう。

今週は目立った経済指標の発表がないがFRB要人の発言に注目だ。パウエル議長は22日に国際決済銀行(BIS)のデジタル関連の討議に参加し、23日には米議会下院、24日には上院でそれぞれコロナウイルス支援・救済・経済安全保障法に関連して議会証言を行う。その他、クラリダ副議長やブレイナード理事らのスピーチもある。ただし皆ボードメンバー、すなわちパウエル議長の「身内」なのでその発言は統率のとれたものになるだろう。

3月も下旬となり機関投資家や金融法人のポジション整理も峠を越える。ここからは配当取りの動きやインデックスファンドの再投資などを見込んだ買いで需給はタイトになるころだ。日経平均は早期に3万円を回復し、その大台を固める動きだろう。TOPIXも2000ポイント台固めとなる。

予想レンジは29,500円~30,500 円とする。