東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は反落となりました。日経平均は312円安の29,904円で寄り付くと下げ幅を縮め取引開始から30分弱で167円安の30,049円まで持ち直しましたが、30,000円を超えたところでは上値が重くやや下げ幅を広げると261円安の29,954円で前場を終えました。271円安の29,945円でスタートした後場の日経平均は日銀によるETF買い入れ方針の変更を受けて12時40分過ぎに急速に下げ幅を広げると13時過ぎに595円安の29,621円まで下落しました。その後13時30分過ぎに319円安の29,897円まで戻しましたが、引けにかけて再び下げ幅を広げると結局424円安の29,792円で取引を終えています。

こうしたなか新興市場はまちまちで東証マザーズ指数が下落となった一方で、日経ジャスダック平均は上昇となっています。

2.個別銘柄等

クスリのアオキホールディングス(3549)が一時6.8%高となりました。新型コロナウイルス感染症の防止対策としてのマスクや消毒液など衛生関連商品の売り上げが好調だったことなどで第3四半期の営業利益が前年同期比で19.8%増の大幅な増益となったことが好感されました。ただ、上げ幅を縮め引けは1.5%高に止まっています。くら寿司(2695)も6.1%高となりました。1株を2株とする株式分割を発表し、それに伴い株主優待が増額となることで買いを集めました。

また、昨日の米国で長期金利が上昇したことに加え、日銀が長期金利の変動幅がプラスマイナス0.25%程度であることを明確にするとしたこともあって銀行株が堅調で、なかでも地銀株に大きく上昇するものが目立ちました。千葉興業銀行(8337)が10.2%高、富山第一銀行(7184)が8.2%高、大光銀行(8537)が7.3%高、山梨中央銀行(8360)が6.9%高となり東証1部の値上がり率上位に入ったほか、地銀大手の千葉銀行(8331)も4.2%高となっています。

一方で日銀が日経平均連動型のETFを買い入れ対象から除外したことから指数寄与度の大きい銘柄に後場に入って売りが出ました。なかでもファーストリテイリング(9983)は6.1%安となり、1銘柄で日経平均を212円押し下げています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は424円安となりました。米長期金利が上昇しハイテク株に売りが出たことで昨日の米国市場が反落となりナスダック総合株価指数が3%安と大きく下げたことから売りが優勢となりました。朝方の売り一巡後にやや持ち直すと前場は30,000円近辺で推移しましたが、昼過ぎに日銀が金融政策決定会合の結果を発表し、原則年6兆円としてきた上場投資信託(ETF)の購入額の目安を削除し、TOPIX連動型のETFのみを年12兆円を上限に必要に応じて買い入れることなどを決めた金融政策の点検結果が公表されると、日経平均連動型のETFが買い入れ対象から除外されたことで指数寄与度の大きい銘柄に売りが出て日経平均は結果公表直後に急速に下げ幅を広げました。

一方でTOPIXはTOPIX連動型のETFの買い入れが継続されることから持ち直すと9日続伸となり昨日に続いて昨年来高値を小幅に更新しています。また、日経平均は大幅安となりましたが、25日移動平均線(29,654円)を小幅に割り込んだところで下げ渋るなど節目での底堅さは維持しています。米連邦公開市場委員会(FOMC)や日銀の金融政策決定会合といった重要イベントを通過したことで動きやすくなることもあって週明け以降の反発に期待したいところです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)