◆コロナ禍でずっと家の中にいる。外の空気や景色に触れる機会がめっきり減った。犬の散歩が唯一の救いだ。街路樹や公園の木々に季節を感じる。散歩の途中でほころんでいる桃の花を目にした。二十四節気の啓蟄から春分までの七十二候で先週までは桃始笑(ももはじめてさく)だった。いつの間にか梅の季節は過ぎていた。今年もひな人形は飾ったが桃の花を愛でてはいない。コロナ禍でも季節の移ろいは思いのほか速いものである。
◆次の土曜日は春分。暑さ寒さも彼岸まで、と言うが、実際には「寒の戻り」があったり「なごり雪」さえ降ることがある。一本調子で暖かくはならず、行きつ戻りつ、三寒四温で春へと向かう。こうした季節の変わり目には、寒暖差や気圧の変化で体調を崩しやすいので注意が必要だ。
◆マーケットにとっても3月後半となれば春はもう、すぐそこまで来ている。需給悪の季節も終わりに近づき、ここからはむしろ需給は改善に向かう。金利上昇に対しても株式市場は耐性がついてきたようだ。世の中、時間が解決してくれることは多くあるが、相場も同じ。それを「日柄調整」と言う。足元の日柄調整期間も終盤に来ている。
◆今週から七十二候では菜虫化蝶(なむしちょうとなる)。マーケットも、蝶のように軽やかに羽ばたいてほしいものだが、欲張らないでおこう。三寒四温ならぬ三落四騰で、上がったり下がったりしながら少しずつ水準を切り上げていけばよい。ただし、株価水準が高いため騰落差も大きくなる。寒暖差、いや騰落差に注意、である。