東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は4日ぶりに反発しました。日経平均は5円高の28,748円と小動きでスタートすると9時40分前に134円安の28,609円まで下落する一方で、10時10分前に158円高の28,901円まで上昇するなど昨日終値を上下する展開となり57円高の28,800円で前場を終えました。買いが優勢となり一段高となった後場の日経平均は207円高の28,951円でスタートすると13時過ぎに308円高の29,051円まで上昇しました。その後13時20分過ぎに132円高の28,875円まで上げ幅を縮めましたが、持ち直し大引け間際に310円高の29,053円まで上昇すると結局284円高の29,027円で取引を終え節目の29,000円を回復しています。

こうしたなか新興市場も堅調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って上昇となっています。

2.個別銘柄等

景気敏感株に物色の矛先が向かうなか鉄鋼株が高く、日本製鉄(5401)が4.1%高、JFEホールディングス(5411)が2.8%高となり、日本製鉄は昨日に続いて昨年来高値を更新しました。円安が進んだことで自動車株も堅調で、トヨタ(7203)が2.9%高、日産(7201)が3.5%高、ホンダ(7267)が3.7%高、マツダ(7261)が3.0%高、SUBARU(7270)が4.7%高となり、ホンダは昨年来高値を更新しています。

また、検査測定装置を手掛ける安永(7271)が一時25.2%上昇しストップ高となる場面がありました。トヨタと共同で燃料電池車の主要部品の検査精度を向上させる検査ユニットを開発したと伝わったことで期待が高まりました。テルモ(4543)も3.8%高となりました。新型コロナウイルスワクチンを1瓶から7回分接種できる注射器を開発し3月末をめどに生産を始めると伝わったことが材料視されました。また、医療関連製品大手メーカーのホギメディカル(3593)が自社株買いを発表したことで8.3%高となり、ウエルシアホールディングス(3141)も強気の投資判断と足元の株価水準を大きく上回る目標株価の設定を受けて6.5%高となっています。

一方でパナソニック(6752)が6.6%安となりました。サプライチェーンの効率化を手がける米ソフトウエア大手のブルーヨンダーを買収する方針を固め、7000億円を軸に投資額を調整していると伝わったことで財務負担を懸念する売りに押されました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は284円高となりました。米上院が1.9兆ドル規模の追加の経済対策を可決したのを受けて景気敏感株に買いが入りダウ平均が1%近く上昇したのに対し、米長期金利の上昇を受けてハイテク株に売りが出てナスダック総合株価指数が2%を超える下落となるなど、昨日の米国市場が高安まちまちとなったことで前場は方向感に欠ける展開となりました。しかし、109円台前半まで円安が進んだこともあって後場に入って買いが優勢となり節目の29,000円を回復しました。そのうえTOPIXは昨日に回復に失敗した25日移動平均線(1,907ポイント)を上回っています。そのため昨日に大幅高から失速して下落に転じたことで高まった下値への警戒感もやや後退することになりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)