東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は3日続落となりました。日経平均は343円高の29,208円で寄り付くと取引開始から5分で391円高の29,255円まで上昇しましたが、11時10分過ぎから急速に上げ幅を縮めると61円高の28,926円で前場を終えました。マイナスに転じ26円安の28,838円でスタートした後場は12時40分に6円高の28,871円とプラスとなる場面もありましたが、先週末の終値をわずかに上回ったところで伸び悩むと直ぐにマイナスとなり14時30分過ぎには220円安の28,644円まで下落しました。その後引けにかけて戻した日経平均ですが結局121円安の28,743円で取引を終えています。こうしたなか新興市場はまちまちで東証マザーズ指数が下落となった一方で、日経ジャスダック平均は上昇となっています。

2.個別銘柄等

日本製鉄(5401)が3.3%高となり昨年来高値を更新しました。高炉休止や1万人規模の合理化、脱炭素をにらんだ設備投資などを盛り込んだ2025年度までの5年間の経営計画を発表したことで構造改革が進むとの期待が高まりました。オンワードホールディングス(8016)も4.2%高となりました。海外展開する主力ブランドのジル・サンダーをイタリアのアパレル大手に売却すると発表したことで構造改革が進むとの期待がこちらも高まりました。武田薬品工業(4502)も3.9%高となりました。米バイオ製薬のモデルナ(MRNA)の新型コロナウイルスワクチンの製造販売承認を厚生労働省に申請したと発表したことが材料視されました。

また、国際石油開発帝石(1605)もニューヨーク原油先物相場が上昇し一時2年ぶりの高値を付けたことで4.6%高となったほか、先週末の米長期金利が一時1.62%と昨年2月以来の高水準を付けるなか三菱UFJフィナンシャルグループ(8306)も2.8%高となり昨年来高値を更新しています。

一方で大規模な自社株買いを発表したことで4日と5日の2日間で25%以上上昇したリコー(7752)が利益確定の売りで6.3%安となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は121円安となりました。先週末の米国市場が米雇用統計で雇用者数が市場予想を上回って増えたことで米労働市況が改善しているとの見方が強まり大幅反発となったことから買いが先行し一時400円高近くまで上昇しました。しかし、米長期金利上昇への警戒からグロース株に売りが出るなかで上海総合指数や香港ハンセン指数が大幅安となったこともあって失速し後場に入って下落に転じました。日経平均は25日移動平均線(29,323円)に届かなかったうえに節目の29,000円も回復できず三桁の下げとなりました。さらにTOPIXは一時25日移動平均線(1,903ポイント)を上回りながらも下落に転じたことで回復に失敗しています。上値の重さが目立つ展開で下値不安が一段と意識されそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)