確認しておこう。先週金曜日、強い米雇用統計を受けて米国長期金利は上昇した。と、言っても前日終値からの上昇幅はわずか0.2bpsである。0.2%ではない、0.2bps、すなわち0.002%の上昇である。ざっくり言えば、横ばいだった。確かに雇用統計発表直後には1.6238%まで跳ね上がった。2/25につけた1.6085%を越える直近のピークである。しかし、その水準では機関投資家からの買いが入り、結局金利は押し戻された。2/25も同じである。1.6%台まで米国10年債が売られれば買いが入るのだ。

出所:Bloomberg

先週の米国長期金利は1週間で16bps上昇した。2/25に急騰したあと、その週末には1.4049%まで低下していたから前週末比では大きな上昇に見える。とにかく、週を通じて16bps金利が上昇したが、先週の日経平均は▲101円、TOPIXは31ポイント上昇、ダウ平均は563ドル上昇、ナスダックは272ポイントの下落。株価の反応は高安まちまちであった。

総括すると、ISM製造業景気指数やNFPの強い指標が出ても米国長期金利は急上昇するわけでもなく、株式相場もザラ場や1日単位で見れば急落もあったものの、比較的耐性がついてきたように思われる。

今週は10日発表の米2月消費者物価指数(CPI)が注目される。市場予想は前年比+1.3%程度。予想通りの結果となれば市場で行き過ぎた感のあるインフレ懸念も一服し、金利の上昇も歯止めがかかる。加えて、米国の追加経済対策法案が上院で可決され14日までに成立の見通しとなったことで、金利上昇の材料もいったん出尽くしだろう。株式市場も安定化へ向かうだろう。週末のメジャーSQ、来週に予定されている米連邦公開市場委員会(FOMC)や日銀政策決定会合を前に積極的な売買は手控えられるだろう。

先週末、急速に下げ渋り、TOPIXはプラス転換して終えた。おそらく週明けは上昇してのスタートとなり、TOPIXは25日移動平均を回復するだろう。今週こそ落ち着きどころを探る展開か。

日経平均の予想レンジは28,500円~30,000円とする。