東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株安を受けて小幅に続落となりました。日経平均は204円安の28,725円で寄り付くと直後に159円安の28,771円まで戻しましたが、上値が重く下げ幅を広げると11時10分過ぎには621円安の28,308円まで下落し571円安で前場を終えました。下げ幅を縮め451円安の28,478円でスタートした後場は13時30分過ぎに74円安の28,855円まで持ち直しましたが、戻し切れないとその後再び下げ幅を広げ14時30分過ぎには309円安の28,620円まで下落しました。しかし、引けにかけて下げ幅を縮めると大引け間際に62円安の28,867円まで戻し結局65円安の28,864円で取引を終えています。こうしたなか新興市場はまちまちで東証マザーズ指数が下落となった一方で、日経ジャスダック平均は上昇となっています。

2.個別銘柄等

積水ハウス(1928)が4.3%高となりました。2022年1月の営業利益が増益に転じる見通しを発表したことや、自己株式を除く発行済み株式数の1.17%にあたる800万株と150億円を上限とする自社株買いを発表したことが好感されました。通信計測機器メーカーのアルチザネットワークス(6778)も急伸し13.4%高となりました。上期の営業利益が大幅な増益となり通期見通しに対する進捗率が86%余りとなったことで買いを集めました。東芝(6502)も6.1%高となりました。米国の資産運用会社ブラックロックが株式を5.21%保有したことが大量保有報告書で明らかとなったことが材料視されました。国際石油開発帝石(1605)も4.2%高となりました。OPECプラスが現在の協調減産を4月もほぼ維持することで合意したと伝わったことで原油価格が大きく上昇したことに加えて、投資判断と目標株価の引き上げもあって買いが優勢となりました。

一方で日経平均が一時大幅安となるなか指数寄与度の大きいファーストリテイリング(9983)が3.4%安となり1銘柄で日経平均を120円押し下げています。さらに昨日の米国市場でハイテク株に売りが出て米国の主要半導体株で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が5%近く下落した流れを受けて日本市場でも半導体関連株が軟調でした。東京エレクトロン(8035)が2.5%安となり、レーザーテック(6920)とアドバンテスト(6857)も1.3%安となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は65円安となりました。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が公開インタビューで金利上昇に関して具体的な抑制策に言及しなかったことで長期金利が上昇したことからハイテク株中心に売りが出て昨日の米国市場が大幅続落となり、ナスダック総合株価指数が2%余りの大幅な下げとなったことから下げ幅を広げ一時は620円以上下落しました。しかし、押し目買いが入り下げ幅を大きく縮め、TOPIXは上昇に転じています。そのため週明け以降の反発に期待したいところですが、まずは今晩の米国市場で長期金利やハイテク株が落ち着きを取り戻すことができるかがポイントとなりそうです。なお、日本時間の22時30分には2月の米雇用統計が発表される予定で注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)