香港にも遅い正月がやってきた。新暦の元日に対して旧暦の元日は「春節」と呼ばれ、2018年は2月16日である。従って、その前日は「除夕」と呼び日本でいう「大晦日」である。大晦日の市内ビクトリア公園花市場は元旦の朝5時まで開催され、その混雑ぶりは、上野アメ横の大晦日の混雑さを10倍程にした熱狂ぶり。これぞ香港のエネルギー満開という言葉がピッタリくる。
そして迎える元日16日。日本の正月と同じく喧騒の香港も流石にこの日だけは静謐な朝を迎え、お寺には初詣客が線香をあげに並ぶのも同じく。子供にお年玉袋をあげる習慣も似ているが、これがやや異なるのが差し上げるのが子供に限らず、レストランの店員、アパートの管理人、会社の部下、果てはタクシーの運転手にも差し上げる。これを利是=ライシーと呼ぶが50袋から人によっては100袋位準備すると言う。一袋には、一般人は10香港ドル(150円程度)から香港タイクーンは数千香港ドルも包むらしい。従って、レストランに行くとフロアー係だけでなく厨房からも人が出てきて、Table周りをグルリと10数人の店員に囲まれるなんていう事も珍しくない。アパートの管理人がやたらと親切になるのもこの季節である。現金な関係がいかにも香港らしく、この習慣に慣れた筆者は、最近は戸惑う事もなく皆さんに配ることが出来る様になった。
元日2日目には、ビクトリア湾で花火大会が開催されるのも正月の香港市民の楽しみの1つとなっている。しかし今年は1週間前に発生した19名が亡くなるという悲惨なバス事故のお悔やみの為中止となった。地元新聞紙上では、初の女性行政長官の中止の決断を評価する一方で、花火大会を眺める事のできるレストランの7割がキャンセルになるなど街の雀達はブツブツと文句を言っているようである。我が社の花火鑑賞会も中止となり、大勢のお客様がお越しになる予定ではあったが、残念ながらこちらも中止としたが、バス事故のご遺族の事を考えると極めて当然の処置ではないかと思える。2週間ほど前に筆者が世話人を務める昼食会にケリーラム行政長官をお呼びしてお話をお聞きしたが、凛とした姿勢と香港に対する愛情を感じるところにとても好感を覚えたので、今回の彼女の判断には合点がいった。
さて、旧正月明けの香港株式市場の相場はどうなるのか。ある証券業界の重鎮から以下の様な年賀メールを貰った。
「初商いは、午前5時24分から7時23分、または午前9時24分から午後3時23分の間にせよ!そうすれば、新年も相場に勝てる。開工大吉。順順利利。」
香港という街は、本当に商売人にとって面白い街である。
コラム執筆:Nippon Wealth Limited, a Restricted Licence Bank (NWB)
世界三大金融市場の一つである香港にて、個人投資家に、「世界水準の資産運用商品」と「日本水準のサービス品質」、個人向け資産運用プラットフォームとしての「安心感」を併せて提供している金融機関。マネックスグループ出資先