東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は小幅に続落となりました。日経平均は19円高の30,311円で寄り付くと取引開始から10分弱で268円高の30,560円まで上昇しましたが、上げ幅を縮めると10時40分過ぎにマイナスに転じ55円安の30,236円まで下落しました。持ち直し52円高の30,344円で前場を終えた日経平均は再びマイナスに転じ39円安の30,252円で後場をスタートさせると13時20分に152円安の30,140円まで下落しましたが、その後持ち直すと14時20分過ぎに11円安の30,280円まで下げ幅を縮めました。しかし、戻し切れず結局56円安の30,236円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も軟調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って下落となっています。

2.個別銘柄等

日経平均が一時上げ幅を広げるなか指数寄与度の大きいファーストリテイリング(9983)に買いが入り4.6%高となりました。上場来高値を更新し日経平均を1銘柄で170円近く押し上げました。エービーシー・マート(2670)も一時3.9%高となりました。投資有価証券の売却益88億円を計上することで通期の純利益の見通しを122億円から183億円に上方修正したことが好感されました。また、投資判断や目標株価の引き上げに反応したのが佐川急便を傘下に持つSGホールディングス(9143)やAGC(5201)で、SGホールディングスは投資判断と目標株価の引き上げを受けて一時2.8%高となり、AGCも目標株価の引き上げを受けて一時3.1%高となりました。

一方で日本空港ビルデング(9706)が6.3%安となりました。新型コロナウイルスの感染拡大の長期化に備え財務基盤を強化するため公募増資などで最大614億円を調達すると発表したことで株主価値の希薄化や株式需給の悪化を懸念した売りに押されました。トレンドマイクロ(4704)も4.3%安となりました。在宅勤務の拡大によりセキュリティー製品が好調に推移することなどで2021年12月期の営業利益が前期比3.6%増の409億円になるとの見通しを発表しましたが市場予想に届かなかったことで売りが優勢となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は56円安となりました。昨日の米国市場でダウ平均がFOMC議事要旨を受けて金融緩和が長期化するとの期待から史上最高値を更新したこともあって上昇してスタートしましたが、買いが続かず上げ幅を縮めるとマイナスに転じました。昨日の下げで25日移動平均線との乖離率が5%をわずかに割り込んだこともあって朝方は買いも入りやすかったといえますが、一時270円高近くまで上昇し25日移動平均線との乖離率が5%台後半まで広がったことで高値警戒感が改めて意識されました。今月に入って一昨日までに2,800円以上上昇していることから一旦上値が重くなるのも当然で、スピード調整が必要ということなのでしょう。

なお、日本時間の22時30分には米新規失業保険申請件数や1月の米住宅着工件数、2月の米フィラデルフィア連銀製造業景況指数などが発表される予定です。また、18日の米国ではウォルマート(WMT)などが決算を発表する予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)