みなさん、こんにちは。このところの相場展開は強いですね。前回コラムで筆者はかなり慎重なスタンスに傾きつつありましたが、大幅な調整後、ここまで短期間で切り返してきた強さには圧倒されました。

ただし、過剰流動性が株価をかなり下支えているとは言え、「バブル」は終わってみて初めてバブルとわかるものです。そのことは、今のような相場展開においても常に頭に入れておく必要があると思います。

そして、バブルは買い手が「もう高くて買えない」と思ったところで一気に破裂し、逆回転が起きるものでもあります。以前のコラムでもお伝えした通り、「宴にはしっかり参加するべき。しかし、最後まで宴に残ってはいけない」ということを、忘れないでください。

なぜ今、再生可能エネルギーが注目されているのか

さて、今回は「再生可能エネルギー」をテーマに採り上げてみましょう。温室効果ガスの排出抑制やその先に提唱されているカーボンニュートラルなど、昨今は地球環境に対する注目が日を追って高まっていると言っても過言ではありません。そして、温室効果ガス、主に二酸化炭素の排出が懸念されている産業の1つが火力発電を含む電力事業です。地球温暖化に歯止めをかけるには、この電力の仕組みを変える必要があると考えられています。そこで注目されるのが再生可能エネルギーです。

再生可能エネルギーとは、エネルギー源がどこにでも存在し、枯渇することがなく、二酸化炭素を排出しないエネルギーのことを指します。具体的には、風力や太陽光、地熱をエネルギー源とした発電方式と理解してよいでしょう。

日本でも東日本大震災の後、全面的に稼働停止となった原子力による発電量を補うべく、太陽光発電の普及が図られたことを覚えてらっしゃる方も多いかと思います。当時はあくまで補完的な役割が再生可能エネルギーに求められていました。しかし、抜本的な地球環境対策の切り札として、再生可能エネルギーをメインのエネルギー(発電方式)に据える取組みが広がりつつあるのです。

再生可能エネルギーの急速な拡大

実際、再生可能エネルギーの存在感はこの10年で急速に拡大しています。日本では全発電量に占める再生可能エネルギーの割合は2014年に12%程度であったものが、2019年には19%程度にまで上昇しました。現在は再生可能エネルギー抜きで電力供給は考えられない水準に至っています。

米国は日本よりもやや低い水準にあるものの、欧州や中国では25%を越える水準となりつつあり、この分野において先行していることがわかります。太陽光発電や風力発電は規模当たりの発電量は決して大きくないものの、どこでも発電できるという特徴を活かし、膨大な数の発電ユニットを配置することで実績を積み上げてきたと言えるでしょう。この傾向は今後高まることはあっても、昔に戻ることは、もはやないように筆者は思います。

再生可能エネルギー普及の足かせ

しかし、再生可能エネルギーでカバーできる発電量のシェアはどこかで頭打ちになるとの観測もあります。これは、再生可能エネルギーは自然現象から得るものが多いため、発電量に季節、気候、時間の影響を強く受けてしまうためです。

例えば、太陽光発電を100%としてしまうと、工場操業や日々の生活電力は日照時間次第という抑制を受けてしまう、と考えればわかりやすいでしょう(再生可能エネルギーには太陽光以外の発電方法を含みますが、あえて極端な例を挙げました)。

そうであれば、このような問題を解消・緩和するためには、化石燃料など従来型発電と併用するか、あるいは余剰となった電力をストックして不足時に活用するという電池機能を充実させる必要があるでしょう。とは言え、従来型発電では温室効果ガスの排出は避けられず、カーボンニュートラルの実現は不可能となってしまいます。また、それほど高品質の電池が現時点で存在していないのも現実です。

これらは再生可能エネルギーの普及の足かせになっていると言えます(もちろん、発電コストが化石燃料などに対して競争力優位にまだない、という点もまた大きな足かせと言えます)。

株式投資を考える上で再生可能エネルギーというテーマは、本質的なエネルギーミックスの変更という構造変化に直結するがゆえに、息の長い相場になる可能性があります。ただし、これまでその対象は再生可能エネルギーの成長限界を懸念してか、太陽電池部材や発電設備、システム設計など、直接的にメリットを受ける企業群に留まっており、なかなか物色対象が広がってこなかったのもまた事実です。

電池関連銘柄に注目

そのような中、筆者は電池関連に期待を寄せています。電池はモバイル製品や電気自動車関連で既に注目されています。しかし、再生可能エネルギーの弱点緩和にも繋がる高性能の電池が開発されれば、その普及に一役買う必然性が高いと考えられます。そうなれば送電網の取扱いを含め、電力の流れさえも大きく変化させる可能性があるでしょう。さらに、電池はその部材の裾野が広いため、市場拡大のメリットを多くの企業が享受できることにも繋がると考えられます。

そして恐らくは、電池以外にも再生可能エネルギーの将来を左右する要因はあるでしょう。時にテーマに直接関係する企業群のみならず、このような間接的な(しかし重要な)役割を担う企業群をテーマ関連銘柄として発掘する試みもまた投資の面白さなのだと筆者は感じています。