東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は3日ぶりに反発しました。日経平均は163円高の28,405円で寄り付くと上げ幅を広げ節目の28,500円を上回りましたが、28,500円を小幅に超えたところで一旦上値が押さえられるとしばらくは28,500円を挟んでの揉み合いとなりました。しかし、9時40分ごろから一段高になると10時30分過ぎに427円高の28,669円まで上昇し361円高の28,603円で前場を終えました。431円高でスタートした後場はしばらく伸び悩みましたが、14時10分過ぎから上げ幅を広げると14時20分に478円高の28,720円まで上昇し14日に付けた昨年来高値(28,698円)を一時上回りました。その後、日経平均は14時50分に325円高の28,568円まで上げ幅を縮めたものの引けにかけてやや戻すと結局391円高の28,633円で取引を終えています。こうしたなか新興市場はまちまちで東証マザーズ指数が下落となった一方で、日経ジャスダック平均は上昇となっています。

2.個別銘柄等

ファーストリテイリング(9983)が3.1%高となり、日経平均を1銘柄で100円近く押し上げました。傘下のユニクロが3000万人強の会員を持つアプリに三井住友銀行と共同開発した支払い機能を加えスマホを使った決済サービスに参入すると伝わったことが材料視されました。

また、コロワイド(7616)やワタミ(7522)、クリエイト・レストランツ・ホールディングス(3387)、ロイヤルホールディングス(8179)などが買われました。東京都が営業時間の短縮要請に応じた飲食店などへの協力金について中小の事業者だけでなく大企業にも支給する方向で検討する方向で検討することになったと報じられたことが好感されました。コロワイドが5.6%高、ワタミが6.2%高、クリエイト・レストランツ・ホールディングスが10.7%高、ロイヤルホールディングスが5.7%高となっています。

バイデン次期政権が自動車の買い替え補助金制度を検討していると伝わったことで自動車株も高く、なかでも日産(7201)が3.9%高、マツダ(7261)が5.5%高となっています。さらに目標株価や投資判断の引き下げに反応したのがレーザーテック(6920)や太陽誘電(6976)で、目標株価の引き上げを受けてレーザーテックが3.6%高となったほか、目標株価と投資判断の引き上げを受けて太陽誘電も7.7%高となり昨年来高値を更新しています。

一方でマザーズ市場ではメルカリ(4385)が5.3%安となりました。成長の三本柱に掲げる米国事業で思わぬ逆風に見舞われていると報じられたことで売りがかさみました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は391円高となりました。昨日と一昨日の2日間で450円以上下げた後ということもあって買いが優勢となりました。また、7日から14日の5日間で1,600円以上上昇するなかで一時6%近くまで広がった25日移動平均線との乖離率も昨日時点で3.6%まで低下していたこともあって買いが入りやすかったといえそうです。こうしたなかで朝方にイエレン次期米財務長官が指名承認の公聴会で大規模な経済対策の必要性を示す方針と伝わったこともあって上げ幅を広げました。短期的な調整の後に大幅高となったことから堅調な地合いは引き続き維持しているとみられます。したがって明日以降再び29,000円の大台を試すような展開がみられるかがポイントとなりそうです。

なお、19日の米国ではバンク・オブ・アメリカ(BAC)やゴールドマン・サックス(GS)に加え、ネットフリックス(NFLX)などが決算を発表する予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)