【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 30,606.48  △196.92 (12/31)
NASDAQ: 12,888.28  △18.28 (12/31)

1.概況

昨年12月30日の米国市場は英国が英製薬のアストラゼネカと英オックスフォード大学が開発した新型コロナのワクチンを承認したことでワクチン普及による経済正常化への期待が高まり反発し、ダウ平均が史上最高値を更新しました。79ドル高でスタートしたダウ平均は昼前に189ドル高まで上昇しましたが、その後弱含むと取引終盤に57ドル高まで上げ幅を縮めました。しかし、結局73ドル高の30,409ドルで取引を終えると28日に付けた史上最高値(30,403ドル)を更新しています。また、S&P500株価指数も5ポイント高の3,732ポイントとなったほか、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も19ポイント高の12,870ポイントとなっています。

31日の米国市場は新型コロナウイルスワクチン普及などで2021年の景気が回復に向かうとの期待から続伸となり、ダウ平均とS&P500株価指数が史上最高値を更新しました。ダウ平均は8ドル高とほぼ横ばいでスタートすると直ぐに下落に転じ一時65ドル安まで下落するなど概ね軟調に推移しましたが、取引終盤に買いが優勢になると引けにかけて急速に上げ幅を広げ結局196ドル高の30,606ドルで取引を終え前日に続いて史上最高値を更新しています。この結果年間では7.2%高となり2年連続の上昇となっています。また、S&P500株価指数も24ポイント高の3,756ポイントとなり28日に付けた史上最高値(3,735ポイント)を上回りました。さらにナスダック総合株価指数も18ポイント高の12,888ポイントとなっています。

2.経済指標等

昨年12月30日に発表となった12月の米シカゴ購買部協会景気指数(PMI)は59.5と前月から上昇し市場予想も上回りました。一方で11月の米中古住宅販売仮契約指数は前月比2.6%低下の125.7となり市場予想を下回りました。

3.業種別動向

昨年12月30日の業種別S&P500株価指数は全11業種のうちエネルギーや素材、資本財・サービスなどの8業種が上げ、エネルギーと素材が1%を超える上昇となりました。一方でコミュニケーション・サービスと生活必需品、情報技術の3業種が下げました。

31日の業種別S&P500株価指数は全11業種のうちエネルギーと一般消費財・サービスを除く9業種が上げました。そのなかでも公益事業と金融、不動産、ヘルスケアが1%以上上昇しています。

4.個別銘柄動向

昨年12月30日の米国市場ではキャタピラー(CAT)が目標株価の引き上げを受けて2%近く上げました。ジーンズ大手リーバイス(LEVI)も同じく目標株価の引き上げを好感して3%高となっています。また、電気自動車のテスラ(TSLA)が2020年の世界の販売台数が目標の50万台を超えたようだとの指摘を受けて買われ4%以上上昇し上場来高値を更新しました。さらに鉱山大手のフリーポート・マクモラン(FCX)が銅価格上昇を好感して7%を超える上昇となっています。

31日の米国市場ではグーグルの持ち株会社であるアルファベット(GOOGL)が目標株価の引き上げを受けて1%近く上げました。新聞大手のトリビューン・パブリッシング(TPCO)も大株主のヘッジファンドが買収提案をしたことが明らかになり買収価格にさや寄せする格好で7%余り上昇しました。また、テスラが1%以上上げ連日で上場来高値を更新しています。一方でテレビ番組のネット配信サービスを手掛けるフーボTV(FUBO)が空売りで知られるヘッジファンドが売り持ち高を積み増していると公表したことで急落し16%近く下げています。

5.為替・金利等

昨年12月30日の長期金利は0.02%低い0.92%となりました。31日の長期金利は0.01%低い0.91%となりました。ドル円は103円台前半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は米国市場でダウ平均が連日で史上最高値を更新したことが相場の支えとなる一方で、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて首都圏の1都3県の知事が政府に緊急事態宣言の発令を求めたことが重石となりそうで小動きでのスタートが予想されます。こうしたなか大発会をプラスで終えることができるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)