東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は小幅に続伸となりました。日経平均は12円安の26,744円で寄り付くと取引開始から4分で81円安の26,676円まで下落しましたが、持ち直すとまもなくしてプラスに転じ10時20分には60円高の26,817円まで上昇しました。しかし、9日に付けた年初来高値に並んだところで上値が押さえられると上げ幅を縮め2円安の26,754円で前場を終えました。プラスに転じ5円高の26,762円でスタートした後場は14時10分ごろに70円高近くまで上昇した後に東京都の新型コロナウイルスの新規感染者が最多の800人超と伝わったことでやや押す場面もありましたが、直ぐに持ち直し上げ幅をさらに広げると14時30分過ぎに85円高の26,843円まで上昇しました。その後引けにかけてやや上げ幅を縮めた日経平均は結局49円高の26,806円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も堅調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って上昇となっています。
2.個別銘柄等
東京都が医療提供体制の警戒レベルを最も深刻な「逼迫している」との評価に引き上げたこともあって巣ごもり関連銘柄に改めて物色が向かいました。任天堂(7974)が6.6%高となり年初来高値を更新したほか、ソニー(6758)も1万円の大台に乗せ年初来高値を更新しています。ソフトバンクグループ(9984)も4.0%高となり日経平均を1銘柄で70円近く押し上げました。傘下のファンドが出資するインドネシアのネット通販大手のトコペディアについて新規株式公開(IPO)の計画を加速するため米モルガン・スタンレー(MS)と米シティグループ(C)を助言役に起用したと伝わったことが材料視されました。
かんぱ生命保険(7181)も急伸し10.0%高となりました。12月中にも3000億円規模の自社株買いを実施する方針を固めたと伝わったことで買いを集めました。三菱マテリアル(5711)も4.1%高となりました。上期決算を発表し通期の経常利益の見通しを70億から200億円に引き上げたことが好感されました。また、国内大手証券が目標株価を引き上げたことでキーエンス(6861)とルネサスエレクトロニクス(6723)が大きく上昇しともに年初来高値を更新しました。キーエンスが5.3%高となり、ルネサスエレクトロニクスも6.9%となっています。
一方で新型コロナウイルスの抗ウイルス薬候補のアビガンについて有効性を判断するのは困難とする国の審査報告書がまとまったと伝わったことで富士フイルムホールディングス(4901)が3.0%安となりました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は49円高となりました。米国市場でナスダック総合株価指数が史上最高値を更新したこともあって買いが優勢となりました。しかし、9日に付けた年初来高値(26,817円)を上回る場面もありましたが伸び悩んだことで高値更新とはなりませんでした。戻り目途の一つとみられていた1989年に記録した過去最高値(38,915円)から2009年に付けたバブル崩壊後の安値(7,054円)までの下げ幅の61.8%戻し(26,745円)の水準を超えてくると相変わらず上値が重くなるようです。
なお、日本時間の22時30分には米新規失業保険申請件数や12月の米フィラデルフィア連銀製造業景況指数、11月の米住宅着工件数などが発表される予定です。また、明日は金融政策に変更はないとみられますが昼頃に日銀の金融政策決定会合の結果が発表される予定で注目されます。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)