東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は3日ぶりに反発となりました。日経平均は7円高の26,659円で寄り付くと直後に3円安の26,648円と小幅にマイナスとなりましたが、下げ渋ると上げ幅を広げ取引から30分弱で217円高の26,870円まで上昇し170円高の26,823円で前場を終えました。139円高の26,791円でスタートし13時過ぎに157円高の26,809円まで上昇した後場の日経平均は14時過ぎから上げ幅を縮めると14時50分前に50円高の26,702円まで上げ幅を縮めましたが、その後やや戻し結局79円高の26,732円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も堅調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って上昇となっています。

2.個別銘柄等

三菱重工業(7011)が7.5%高となりました。政府が2035年の配備をめざす次期戦闘機の開発体制の大枠が固まり三菱重工業を開発主体として米防衛大手でF35などの開発実績をもつロッキード・マーチンが技術支援すると報じたことで注目を集めました。エンジンはIHI(7013)、機体はSUBARU(7270)、レーダーは東芝(6502)や富士通(6702)、電子戦装備を制御するミッションシステムは三菱電機(6503)などがそれぞれ担当する想定と伝わったことでIHIが7.2%高、SUBARUが4.4%高、東芝が2.4%高、富士通が0.1%高、三菱電機が2.5%高となっています。

川崎重工業(7012)も11.0%高と急伸しました。岩谷産業(8088)などと共同で再生可能エネルギーを由来とする液化水素サプライチェーンの事業化に向けた検討を始めると発表したことで買いを集めました。ソフトバンクグループ(9984)も一時5.7%高まで上昇する場面がありました。傘下でロボット開発を手掛ける米ボストン・ダイナミクスの株式の大半を韓国の現代自動車グループに売却すると発表したことが好感されました。上げ幅を縮め引けは2.2%高となっています。明電舎(6508)も6.8%高となりました。100億円程度を投じて国内外で電気自動車に使うモーターや関連部品を増産すると報じられたことが材料視されました。任天堂(7974)も11月の米国でのニンテンドースイッチの販売台数が135万台を超え10月の73万6000台から大幅に伸びたと伝わったことで3.1%高となり年初来高値を更新しています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は79円高となりました。米国で追加経済対策の法案が14日にも公表されると伝わったことで時間外で米株価指数先物が上昇したことから買いが優勢になりました。また、寄り付き前の8時50分に発表となった日銀短観で大企業・製造業の業況判断指数(DI)がマイナス10と前回のマイナス27から改善し市場予想を上回ったことも相場の支えとなったのかもしれません。こうしたなかで日経平均は9日に付けた年初来高値(26,817円)を上回る場面もありましたが、上げ幅を縮めると引けでは超えることができませんでした。戻り目途の一つとみられていた1989年に記録した過去最高値(38,915円)から2009年に付けたバブル崩壊後の安値(7,054円)までの下げ幅の61.8%戻し(26,745円)の水準を上回ってくると伸び悩む傾向に変わりはないようで、高値更新は今晩の米国市場の反応をみてからということなのかもしれません。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)