東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は4日ぶりに小幅に反落となりました。日経平均は112円安の26,697円で寄り付くと10時前に9円安の26,799円まで下げ幅を縮めましたが、戻し切れないと再び下げ幅を広げ11時過ぎに163円安の26,646円まで下落し118円安で前場を終えました。118円安でスタートした後場の日経平均は直後に124円安の26,684円まで下落しましたが、14時40分に37円安の26,772円まで持ち直すと結局58円安の26,751円で取引を終えています。こうしたなか新興市場はまちまちで東証マザーズ指数が下落となった一方で、日経ジャスダック平均は上昇となっています。
2.個別銘柄等
デンソー(6902)が7.8%高となり年初来高値を更新しました。外資系証券が投資判断と目標株価を引き上げたことに加えて、国内大手証券が目標株価を引き上げたことから買いを集めました。ノーリツ(5943)も5.7%高となり年初来高値を更新しました。不採算分野だったシステムバスや洗面・化粧台などの住設システム事業から撤退したことに加えて、固定費や変動費などのコスト削減が寄与したことで通期の営業利益の見通しを28億円から42億円に上方修正したことが好感されました。
一方で楽天(4755)が7.3%安となりました。NTTドコモ(9437)がデータ利用量20ギガバイトで2,980円の新プランを発表したことで楽天モバイルからNTTドコモに乗り換える利用者が増えるのではとの懸念から売られました。また、仮想移動体通信事業者(MVNO)の反応は様々でインターネットイニシアティブ(3774)は5.2%安となりましたが、NTTドコモが打ち出した本体ブランドの値下げに対抗し新しい料金プランを10日から導入すると発表した日本通信(9424)は2.1%高となっています。さらに調剤薬局大手のアインホールディングス(9627)が急落し11.8%安となりました。上期決算を発表し新型コロナウイルスの感染拡大で通院を手控える傾向があることから通期の営業利益の見通しを146億円から92億円に下方修正したことが嫌気されました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は58円安となりました。戻り目途の一つとみられていた1989年に記録した過去最高値(38,915円)から2009年に付けたバブル崩壊後の安値(7,054円)までの下げ幅の61.8%戻し(26,745円)の水準を上回ってきたことで一旦上値が重くなるなか、米ファイザー(PFE)が供給予定の新型コロナウイルスワクチンの今年の出荷量が当初予定の半分になると伝わり昨日の米国市場が大きく上げ幅を縮め高安まちまちとなったことから売りが優勢となりました。しかし、後場に入って下げ幅を縮める展開で底堅くTOPIXは小幅に続伸となっています。押し目買い意欲は依然と強く年末株高への期待は高いといえそうです。なお、日本時間の22時30分には11月の米雇用統計が発表される予定で注目されます。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)