先週の米国株市場では、来たる米バイデン新政権に関するポジティブなニュースがマーケットを押し上げました。
11月23日(月)にバイデン次期米大統領が次期財務長官に連邦準備制度理事会(FRB)前議長のジャネット・イエレン氏を指名すると報じられ、株式市場が上昇しました。翌日11月24日(火)には、ついにトランプ米政権が、バイデン氏への政権移行の手続き開始を容認したことで、不透明感が後退し、NYダウ指数は昼前に、初の 3 万ドルの大台に乗りました。
先週1週間ではS&P 500指数は2.27%上昇、11月27日(金)には史上最高値を更新しました。
S&P500、米大統領選後3週間の上昇率は史上2番目の高パフォーマンス
市場参加者に懸念された米大統領選ではありましたが、11月3日(火)の選挙日の引けから11月25日(水)までの3週間でS&P 500は7.9%上昇しています。
実はこれは1928年から今までの中で、米大統領選後3週間の上昇率としては、史上2番目に最も株価が上がった3週間です。歴史の本を紐解きますと、1980年に行われた米大統領選で、レーガン候補がカーター大統領に勝利をした年の大統領選後の3週間にS&P500が7.97%上昇したのが史上最高の記録となっています。1928年から今までの中で、民主党候補が勝利の場合には選挙後の3週間に平均1.11%下げ、共和党候補が勝利の場合には平均3.04%の上げだったようです。
ですから、民主党の候補であるバイデン氏が選挙で勝利を収め、株式市場が大統領選後の3週間で7.9%上昇したのは、コロナワクチン開発のニュースの影響も考えられますが、歴史的には珍しいこととなります。
ちなみにレーガン米大統領の選挙日から3週間経ってから、次の米大統領選までの4年間でS&P 500は38.3%上昇しています。
コロナ禍で年末商戦はオンラインショッピングが盛況
米国では11月26日(木)の感謝祭を皮切りに、年末のショッピングシーズンが始まりました。例年、感謝祭の翌日の金曜日には、全米のお店では「ブラックフライデー」と呼ばれるバーゲンセールが行われ、テレビのニュースでは、大勢の米国人がバーゲンハンターとなり、お店に流れ込む様子が放送されます。
しかし、2020年は例外の年となりました。新型コロナウイルスの感染者数が急増している米国では、ブラックフライデーの実店舗での買い物客の数は前年比52.1%減りました。2020年のブラックフライデーから年末までの6週間に渡るホリデーシーズンの実店舗での買い物客数は、前年同期比で22〜25%減るだろうと見られています。
2020年の感謝祭の日は、新型コロナウイルス対策で多くのウォルマート(WMT)やターゲット(TGT) の店舗がお休みとなったこともあり、会社側の発表ではこの日の買い物客の数は前年比で94.9%減ったとのことです。
そんな中、ブラックフライデーのオンラインショッピングで使われた金額は前年比で21.6%増、90億ドルに達したと報告されています。これは2019年の「サイバーマンデー(ブラックフライデー明けの月曜日)」に次いで史上2番目の記録だと言われており、2020年のサイバーマンデーはその記録を更に更新するのではないかと見られています。
明らかにこの様なトレンドの恩恵を最も受けるのは言わずと知れたアマゾン(AMZN)であり、2020年9月にS&P 500指数に採用されたエッツイ(ETSY) ではないでしょうか。
新グリーンエネルギー関連企業が株式市場に仲間入り
2020年はテスラや中国の高級電気自動車メーカーのニオ(NIO) などのグリーンエネルギー関連企業が注目を受けています。そして、これらの企業が株式市場に仲間入りすることによって、株価の急上昇が目立っています。
そんな中、11月27日(金)に新たなグリーンエネルギー関連企業が仲間入りを果たしました。クアンタムスケープ(QS)は、10年前に、コンピューター科学者とスタンフォード大学卒のメカニカルエンジニアによって、米カリフォルニア州サンノゼで設立された次世代のリチウムベースのバッテリー製造を行っている会社です。
この会社には、フォルクスワーゲンが3億ドルの投資を行っている他、ビル・ゲイツ氏の投資ファンドや中国の自動車外車の上海汽車集団(SAIC)、そして欧州の自動車のサプライヤーであるコンチネンタルなども投資家となっています。
また、テスラの元共同設立者であるJBストラウベル氏も取締役会の一員として参画しています。ストラウベル氏はテスラに在籍中、ありとあらゆるバッテリーの調査を行ってきたと言われており、その彼が同社にコミットしているということは、この会社の将来性を物語っているのではないでしょうか。
同社は今流行りのSPAC(特別買収目的会社)のスキームを使って株式市場に上場し、株価の方は1日で57.5%上昇、37ドルで取引を終えています。今後の成長が期待される会社だと思います。