1980年以降5回あった米政権交代と為替の関係

1980年以降の米大統領選挙で、政権与党の交代となったのは5回あった(図表参照)。このうち、今回のように共和党から民主党へ交代したのは2回(1992、2008年)、そして民主党→共和党は3回(1980、2000、2016年)だった。

【図表】1980年以降の米大統領選挙
出所:マネックス証券が作成

これは、為替相場への影響では比較的わかりやすい結果となった。要するに、民主党への政権交代となった2回は米ドル安・円高、そして共和党への政権交代となった3回は、基本的には米ドル高・円安となった。

少し具体的に見てみよう。まず、1980年の大統領選挙で勝利して始まったレーガン・共和党政権では、「Benign Neglect」、優雅なる米ドル高放置と呼ばれる中で大幅な米ドル高・円安に向かった。また、2000年の大統領選挙で誕生したブッシュ政権でも、当初米ドル高・円安容認政策の下、2002年には135円まで米ドル高・円安となった。

そして、まだ記憶に新しい2016年の米大統領選挙では、「まさかのトランプ勝利」を受けて、トランプ・ラリーの米ドル急騰となった。もっとも、この米ドル高・円安はすぐに一巡、2017年にトランプ政権が始まってからはむしろ米ドル安・円高気味の推移となった。

それにしても、このように見ると、共和党への政権交代では米ドル高・円安が起こりやすかったといえるだろう。一方、民主党への政権交代の2つのケースは、1993年からのクリントン政権は名実ともに円高容認政策をとり、2009年からのオバマ政権は「リーマン・ショック」から始まった「100年に一度の危機」の結果として米ドル安・円高となった。

さて今回、バイデン民主党政権への交代が現実味を帯びる中で、米ドル/円は一時103円割れ近くまで下落するなど、米ドル安・円高気味のスタートとなっている。それは、これまで見てきたことからすると、とりあえず過去の経験則通りの方向性ではありそうだ。