バイデン氏の当選確定と新型コロナワクチンの治験結果を好感した米国株式市場

先週月曜日(11月9日)には、新型コロナウイルス対策について、これまでで最も重要なニュースが発表されました。米製薬大手ファイザーが独製薬ベンチャーのビオンテックと共同開発している新型コロナワクチンについて、数万人規模の大型治験で、90%超の確率で感染を防ぐことができたとしたことです。同社は11月中にも米食品医薬品局(FDA)に緊急使用の承認を申請することになると見られています。承認されると、 2020年には最大5000万回分、2021年には最大13億回分のワクチンを供給できる見込みであると発表しました。

その一方で、引き続きトランプ米大統領は米大統領選で不正があったとの主張を続け、バイデン氏の勝利を否定する異例な事態が続いています。

そんな中、株式市場はバイデン氏の当選確定とファイザーのニュースを好感しました。

先週1週間でNYダウ平均は4.08%上昇、S&P500指数は2.16%上昇、ナスダック総合指数は0.55%上昇を見せました。

先週月曜日(11月9日)のラリーでは、S&P500指数の27%の銘柄が52週間の高値をつけており、2018年の初旬来で最も高いレベルとなっています。これは市場での物色の裾野が広がっていることを意味します。

グロースセクターからバリューセクターへのシフトは進むか

先週の市場ではポストコロナのアメリカ経済を見据え、今まで上昇し続けてきたグロースセクターからバリューセクターへのシフトが散見されました。

ただし、目先の展開としては、まだ新型コロナ治療薬が完成したわけではないため、グロースとバリューが交互に買われる展開になるのだと思います。

2021年バリュー銘柄がグロース銘柄をアウトパフォームすることが起きたとしても、それはGAFA銘柄の株価が必ずしも下げに転じることを意味するのではなく、GAFA銘柄の大きな調整が起きるとすれば、むしろ長期的な視点を持っている投資家にとっては絶好の機会だと考えています。

EPFRグローバルによると、直近の週間ベースの世界の株式市場への資金流入は445億ドル(約4.7兆円)と言われており、これは週間ベースでは2000年来の大規模な資金のフローです。この内訳は約92%が機関投資家の資金であり、個人投資家は約8%を占めています。

今週は大型リテールセクター決算発表が続く

コロナ禍で、投資を控えてきた個人投資家の本格的な資金も、新型コロナウイルス対策のワクチンが現実化となる中、個人投資家の資金も株式市場に流れてくるのではないかと思います。  

今週はウォルマート、ターゲット、メイシーズ、ロウズなどのリテールセクターの銘柄の決算発表が予定されています。過去3ヶ月間のコロナ禍における米国人の消費動向の確認だけでなく、2020年の年末商戦のヒントが伺えるかもしれません。

バイデン氏の「勝利」に初めて言及したトランプ米大統領

11月15日(日)(現地時間)になってトランプ米大統領は「彼が勝利したのは選挙に不正があったからだ」とツイッターに書き込み、大統領選後に初めてバイデン氏が「勝った」と言及しました。株式市場のリスクが1つ減り、日本時間月曜日(11月16日)朝方の米国株指数先物は上昇しています。