東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は6日続伸となりました。日経平均は247円高の25,087円と節目の25,000円を上回ってスタートすると買い気配だった銘柄が寄り付くなかで上げ幅を広げまもなくして440円高の25,279円まで上昇しましたが、朝方の買いが一巡すると上げ幅を縮め268円高で前場を終えました。208円高でスタートした後場は25,000円を割り込むと13時50分過ぎに下落に転じました。しかし、日経平均は6円安の24,833円で下げ渋ると直ぐにプラスに転じ148円高まで一旦持ち直しましたが、引けにかけて上げ幅を縮めると結局65円高の24,905円となり年初来高値を更新して取引を終えています。一方で新興市場は安く東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って下落となり、東証マザーズ指数は6.4%安となっています。
2.個別銘柄等
新型コロナウイルスワクチンの普及で経済の正常化が進むとの見方から空運株が買われました。日本航空(9201)が21.2%高となったほか、ANAホールディングス(9202)も18.1%高となりました。また、旅行関連も高くエイチ・アイ・エス(9603)が15.0%高となったうえ、エアトリ(6191)が11.8%高、オープンドア(3926)が26.8%高、KNT-CTホールディングス(9726)が15.7%高となり、エイチ・アイ・エスはストップ高となる場面もありました。米長期金利の上昇を受けてメガバンクや生保株も高く、メガバンクでは三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)が4.2%高、三井住友フィナンシャルグループ(8316)が4.4%高、みずほフィナンシャルグループ(8411)が4.5%高となり、生保株では第一生命ホールディングス(8750)が8.5%高、T&Dホールディングス(8795)も8.0%高となりました。さらにヤマハ発動機(7272)が21.4%高となりました。第3四半期の決算を発表し米国や欧州などで大型二輪車や船外機などの需要が想定以上に回復していることから通期の営業利益を200億円から700億円に引き上げたことから買いを集めました。上期決算を発表し通期の営業利益の見通しを上方修正した日本製鋼所(5631)やブラザー工業(6448)、島津製作所(7701)も高く、日本製鋼所が9.4%高、ブラザー工業が7.5%高、島津製作所が9.4%高となりました。一方で巣ごもり関連が安く任天堂(7974)が4.5%安、バンダイナムコホールディングス(7832)が8.1%安となっています。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は65円高となりました。昨日の米国市場で米ファイザー(PFE)が開発中の新型コロナウイルスワクチンの臨床試験で9割以上の被験者に感染防止効果がみられたとの初期データを発表したことでワクチンの普及で経済の正常化が進むとの見方によりダウ平均が834ドル高となったことから買いが優勢となりました。一時は400円以上上昇し節目の25,000円をおよそ29年ぶりに上回る場面もありましたが、昨日までの5日間で1,800円以上上昇していたことや、25日移動平均線との乖離率も5%超に広がっていたことで短期的な過熱感が高まっていたことから大きく上げ幅を縮め25,000円を維持できませんでした。依然として過熱感があるなかでスピード調整が一旦は必要なのかもしれません。なお、決算発表が続いていますが、本日も引け後にディー・エヌ・エー(2432)や富士フイルムホールディングス(4901)、IHI(7013)などが決算を発表する予定です。また、10日の米国では配車サービス大手のリフト(LYFT)が決算を発表する予定です。
( マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之 )