相場観に固執せず、後出しでも流れに乗る

大統領選挙後の投資戦略はどう考えたらよいか。これまでの経験を参考にすると、トレンド・フォロー、順張りということになるだろう。別な言い方をすると、相場観に固執せず、流れに素直に乗るということ。

その典型が、前回、2016年の大統領選挙後に起こった「トランプ・ラリー」ではないか。この相場では、大損と大儲けと分かれたようだった。トランプが万一勝ったら、株も米ドルも暴落不可避との相場観は選挙前に大勢を占めたものだったが、その相場観を維持した人達は結果的に売り上がってしまった。

ただ、「トランプ・ラリー」とは、選挙直後の101円から、ほんの1ヶ月半で118円まで米ドルが大幅高となった相場だったので、途中から米ドル買いに入っても利益を出せる可能性が高かっただろう。

一方向への大相場の場合、外れた相場観に固執すると大損の危険がある。一方で相場観が外れて、大相場に乗り遅れてもそれでも利益を出せる可能性はあるわけだ。

米大統領選挙相場とは、これまでは長いことそうだった。それとも今回は違うのか。ただし、今回も米ドル/円は選挙前の小動きとなっていたので、動き出したら溜まったエネルギーの発散で、一方向へ大きく動く可能性はやはり注目されるのではないか。

そうであるなら、投資戦略は、相場観に固執せず、事後的にトレンドの出た流れに乗る、「トレンド・フォロー」の意識が重要になるのではないか。

えんえんと勝敗決まらず、その場合の鍵とは?

いよいよ米大統領選挙の投票日が1週間後に迫ってきたが、これまでは基本的に開票当日にほぼ勝敗が決着してきた。その意味では、時差の関係で、投票日の翌日の日本時間午後にかけて大勢が決まるのが基本だったわけだ。

ところが今回はその頃では、とても決着はつかないだろうとの見方が多いようだ。第一の理由は、コロナ禍の影響で郵便投票の割合が高くなり、その開票にどれぐらい時間がかかるか、なんせ初めてのことなのでやってみないとわからないということ。

よく言われているのは、トランプ支持者はコロナを気にせず投票所で投票する割合が高そうなので、開票直後は「トランプ優勢」となる可能性が高いのではないか。

一方、バイデン支持者はコロナを警戒し、郵便投票の割合が高い。この結果、開票の時間が遅くなるほど、バイデンの巻き返しが強まり、場合によっては逆転する。そうすると、トランプは「郵便投票の不正」批判を強め、これまでの発言通りなら敗北を認めない。

決着が投票から1ヶ月もかかった2000年の大統領選挙のケースでは、当時の民主党ゴア候補の「敗北宣言」で決着となった。こういった前例から、決着は一方が負けを認めた時との考え方が根強い。ということは、もしも開票結果でトランプの負けとなったら、トランプは負けを認めず、その結果、さらに決着は先になる可能性もある。

そんなふうに、えんえんと「次期米大統領」が決まらないといった異常事態となったら、マーケットはどうなるのか。手掛かりがつかめないので、方向感のない小動きが続くのか。

かりにそうなったら、為替はともかく、それでも株高は続くのか。逆にそんなマーケットの動きが、選挙の決着を迫るといった可能性もあるように思うが。