家計を見直す際には「ここは、使い過ぎかもしれません」、「無駄遣いを減らしてください」などのアドバイスを受けることが多いかと思います。要するに「浪費を減らして!」ということです。

確かに「過剰な浪費」は減らす方が好ましいと思うのですが、完全になくしてしまうほど削らなくてはいけないのでしょうか。浪費を完全に削ると、楽しみや娯楽が全くなくなってしまうようにも思えます。

「浪費している」という認識を持つ

衝動買いや、単に欲しいものを刹那的に購入する、気分転換だけを目的にお金を使うなどは、「無駄遣いだ、浪費だ」と言われがちです。それは「生活することに役立たない、必要ではない」と見なされているからなのですが、全てがそうというわけではありません。

浪費をすると「充実した時間を過ごせた」という満足感を得られたり、「明日からまた頑張ろう」と思うきっかけになったりすることもあります。人生や生活の「遊び部分」として、「無駄」や「浪費」は必要な場合もあるのです。

ただ、浪費は意識しないと過剰にしてしまいがちです。ですから「あえて浪費するぞ」と思って浪費することが大事です。「浪費している」という認識の下で浪費することがよいのです。そうするとセーブをかけることも難しくありません。認識がないまま浪費することがよくないのです。

理想的な浪費の割合は?

暮らしの遊び部分としての浪費は、支出の中でどのくらいしても良いと思いますか?多すぎて生活費に影響してしまうのはいけません。せいぜい支出の5%ほどに止めるようにしましょう。

以前のコラムでもお伝えしましたが、支出は「消費・浪費・投資」の3つの物差しで測ることができます。以下、簡単におさらいします。

「消費」は生きるため、生活するために欠かせない支出です。例えば、住居費や過剰ではない食費、水道光熱の利用料金、携帯電話の利用料金などが一般的には該当することでしょう。

「浪費」は、基本的に生産性は基本なく、いわゆる無駄づかいのお金です。ギャンブルや過剰な嗜好品代、借金の利息、不用意にかかる手数料や年会費などが該当します。

「投資」は預貯金や金融商品としての投資だけではなく、将来仕事の幅を広げるための通信教育代や、書籍・参考書代などの自己投資も含まれます。お金が将来、自分に返ってくる使い方です。

この3つの支出を「消費:浪費:投資=70:5:25」程度に配分すると、バランスが良くなります。ここでは、あえて5%を浪費に充てて良いとしています。生活費が30万円の人であれば、1万5000円が浪費の予算です。これだけあれば、ちょっとした無駄遣いができますから、楽しみも生まれそうです。

浪費をタブー視しないで

今、多くの人が金銭的にも、精神的にもゆとりが少ない状況で暮らしています。そのような中で、確かにお金を有効に使うためには、「必要もない、無意味な無駄遣い」はしたくないでしょう。

ですが、このような時には笑い話となるようなお金の使い方があっても絶対にいけないのではなく、将来のお金の使い方に活きてくるものだと思うのです。そのようにするためにも、まず浪費にはルールを作って欲しいのです。

支出の5%を超えるような過剰な浪費は削減すべきですが、この範囲内での浪費は、タブー視しないでいただきたいと思います。それで生活や生き方に多少のゆとりが持て、楽しみが増える、息抜きできたとなるのなら、それは今後に活きる浪費なのだと思います。

やってはいけないのは、浪費という認識がないままに浪費をすることです。浪費してよい金額の範囲内で、浪費だと認識しながら存分に浪費をしていただきたいと思います。私も、あえての浪費をしています。生きづらいと思える世の中で楽しく暮らす秘訣とも言えるのではないでしょうか。

浪費という認識のないままに浪費していること、つまり気づかないでする浪費が「残念な浪費」になってしまうと思うのです。