前回コラムで指摘したように、日経平均株価は少しずつ切り上がっています。しかしながら、2020年1月の高値や2月の戻り高値を目前にして、すっきり上放れることができない状況となっています。

【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成
※赤丸=埋まっていない窓、青丸=埋まった窓

前回発生した窓を埋めたあと、再び窓が発生

前回コラムでは、9月25日と28日のあいだにあけた窓を埋めるかどうかについて解説しました。その後、高値水準が一時的に切り上がったものの、米大統領候補者のテレビ討論会が日本時間の9月30日の取引時間中(現地時間29日)に行われ、バイデン候補が有利となったことから、一時的にNYダウ先物に売りが膨らむ結果となり、それと同時に日経平均株価も下落して窓を埋める結果となりました。

さらに、10月1日に東証のシステム障害で終日売買が停止されたことから取引の機会が失われるなか、その翌営業日の10月2日にはトランプ米大統領が新型コロナウイルスに感染したことが報道され、一時23,000円を割り込む場面もありました。

このように、株価水準が切り上がっても、直ぐに切り下がるといった、窓の発生や窓埋めを伴いながら上下の変動が繰り返されていることが分かります。

そして先週は再び10月7日と8日に窓をあけたことで、窓の発生と窓埋めが繰り返されるのではないかといったことがまた予想されるところとなります。

そうなりますと、高値近辺で推移しているものの、短期的な反落にはこれまで同様、注意が必要だということになりそうです。

今後の動向について

では、このような状況を踏まえ、今後の動向について考えたいと思います。

3月に安値をつけてから10月13日までを振り返りますと、8月13日に23,000円台に乗せたあと約3ヶ月にわたって23,000円台でのもち合いが続いている状況です。そこで、仮に窓を埋める水準まで株価が下落した場合に注目されるのが25日移動平均線になります。

25日移動平均線は緩やかな上昇を続けていますが、窓を埋めたときに25日移動平均線がサポートになって反発するようですと、株価水準が再び切り上がりそうです。

一方で25日移動平均線を終値で下回って戻せなくなるようですと、5日移動平均線と25日移動平均線の両方が下向きに転じてデッドクロスが発生し、再び23,000円前後まで下落することが視野に入ってくるのではないかと思われます。

もち合いのなかで、同じことが繰り返されている日経平均株価の値動きですが、変化の兆しが発生したときに見逃さないようにしたいところです。