移動平均線の上向き変化で、上放れ期待が高まる

東京市場では、日経平均株価が2024年12月27日に4万円を回復しました。しかし、2024年の取引最終日となる12月30日の大納会と、2025年最初の取引日となる1月6日の大発会がともに下落して終え、嫌なムードが広がりかけました。しかし、7日は大幅高となったことから、5日、25日、75日と、3本の移動平均線を上回って取引を終えているのが分かります。

また、3本の移動平均線がすべて上向きとなっていることから、上昇トレンド入りしていると考えられ、上放れ期待が高まっていると思われます。とは言え、なかなかすんなりとは上昇してくれません。

もち合い期間が長ければ長いほど、上放れたあと強いトレンドが発生するというのが経験上よく使われる例えですが、4万円を回復する場面があったにもかかわらず、一気に上放れることができないのはなぜなのでしょうか。

そこで確認したいのが、上昇と下落の勢いを教えてくれるモメンタムです。

【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成 
※移動平均線は5日、75日、200日を表示

モメンタムの上昇が上放れのカギを握る

モメンタムを見ると、株価の水準は確かに切り上がり、これまで押し返されてきた4万円を回復しています。しかし、モメンタムとその移動平均線であるシグナルの両方が、上昇と下落の勢いの判断の分かれ目となる0ラインをわずかに上回っている水準に位置しており、勢いが出ていないことが分かります。モメンタムとシグナルの水準が低く、勢いが出ていないことが、上値の重い原因になっているのではないかと言えそうです。

こうした状況から、今後株価水準が切り上がるかどうかを判断する材料として注意して見ておかなければならないのが、モメンタムとシグナルの水準になると思われます。仮に、モメンタムとシグナルが水準を切り上げて上昇が続くようなら、4万円を維持するとともに上昇トレンドの発生も視野に入ります。

その反面、モメンタムとシグナルが水準を切り上げても限定的で、下向きに変化するとともに0ラインを割り込んで低下が続くようなら、5日移動平均線を下回って25移動平均線辺りまで反落したり、75日移動平均線に接近したりすることが考えられます。そのため、売買タイミングには注意が必要になると思われます。