東京市場まとめ

1.概況

本日の日本市場は下落しました。日経平均は米国市場が続伸となったことで109円高の23,294円で寄り付くと取引開始から5分余りで180円高の23,365円まで上昇しましたが、上げ幅を縮めると11時10分過ぎに19円高の23,205円まで弱含み34円高で前場を終えました。16円高でスタートした後場は13時に84円高の23,269円まで上昇しましたが、トランプ米大統領の新型コロナウイルス感染が判明したことで13時50分過ぎから急速に上げ幅を縮めると14時前に下落に転じ節目の23,000円を割り込み14時30分過ぎに233円安の22,951円まで売られました。その後引けにかけてやや戻し23,000円を回復した日経平均は結局155円安の23,029円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も軟調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って下落となっています。

2.個別銘柄等

キューピー(2809)が一時8.3%高まで上昇しました。昨日の取引終了後に発表した第3四半期累計の営業利益は前年同期比18.3%減となりましたが、第3四半期3カ月では前年同期比3.7%増となり増益に転じたことが好感されました。上げ幅を縮め引けは2.9%高となっています。楽天(4755)も3.9%高となりました。9月30日に料金設定をNTTドコモ(9437)など大手3社の半額以下とした次世代通信規格「5G」の携帯電話サービスを発表したことで価格競争力の優位性を期待した買いが入りました。また、国内大手証券が目標株価を引き上げたことでイオンモール(8905)が4.3%高となっています。一方で三菱マテリアル(5711)は国内大手証券が目標株価を引き下げたことで5.6%安となっています。東証ジャスダック市場ではワークマン(7564)が6.6%安となりました。9月の既存店売上高は前年同月比9.6%増と好調だったものの6月をピークに伸びが鈍化していることが嫌気されました。

VIEW POINT: 明日への視点

昨日は障害が発生したことで東京証券取引所の全銘柄の取引が終日停止となりましたが、本日は通常通りの取引が行われました。一安心ですが、日経平均は朝方の買い一巡後に上値が伸び悩み上げ幅を縮めると後場に入って下落に転じました。トランプ米大統領がツイッターで新型コロナウイルスのPCR検査を受けたところ陽性と判明したと明らかにしたことで米株価指数先物が大幅安となったことから日本市場も売りが優勢となりました。日経平均は9月30日に25日移動平均線を割り込んでいるだけに本日の下げで下値への警戒感が一段と意識されそうです。なお、日本時間の21時30分には9月の米雇用統計が発表される予定で、非農業部門雇用者数は87万5000人増が、そして失業率は8.2%が市場予想となっています。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)