東京市場まとめ

1.概況

本日の日本市場は小幅に上昇しました。日経平均は1円高の23,321円とほぼ横ばいで寄り付くと取引開始から10分余りで79円高の23,398円まで上昇しましたが、朝方の売りが一巡すると上げ幅を縮め10時10分過ぎに下落に転じました。しかし、29円安の23,290円で下げ渋ると持ち直し6円高で前場を終えました。29円高の23,348円でスタートした後場の日経平均は昨日の終値近辺まで弱含む場面もありましたが、マイナスになることなく踏み止まり小幅高で推移すると結局40円高の23,360円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も堅調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って上昇となっています。

2.個別銘柄等

伊藤ハム米久ホールディングス(2296)が通期の業績予想を見直したことで3.6%高となりました。外食店向けの需要が低迷していることから売上高は8300億円から8200億円へと下方修正しましたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う巣ごもり消費の高まりを背景に好採算の加工食品や食肉の販売が伸びていることで営業利益を150億円から200億円へと上方修正したことが好感されました。また、政府が行政のデジタル化を推進するデジタル庁を2021年秋までに新設する方針と伝わったことでNTTデータ(9613)や富士通(6702)、NEC(6701)などが買われました。NTTデータが7.6%高、富士通が4.4%高、NECが4.0%高となっています。

一方で菅義偉首相が武田良太総務相に携帯電話料金の引き下げについて結論を出すようにと指示を出したと伝わったことで大手携帯各社が売られました。NTTドコモ(9437)が2.9%安となったほか、KDDI(9433)が4.1%安、ソフトバンク(9434)が5.0%安となり、NTTドコモは年初来安値を付けています。クスリのアオキホールディングス(3549)も4.2%安となりました。昨日の取引終了後に発表した決算で第1四半期の営業利益が前年同期比で41%増と大幅な伸びになったにも関わらず通期の業績予想を据え置いたことが嫌気されました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は40円高となりました。昨日の米国市場は主力ハイテク株に売りが出て下落しましたが、昨日の日経平均が米国市場の下落を見越して下げ幅を広げる展開となっていたことから買いが優勢となりました。しかし、様子見ムードが強く79円高で上値は伸び悩み方向感に欠ける展開となりました。4連休を前に積極的には動けないということなのでしょう。

なお、日本時間の23時には8月の米景気先行指標総合指数や9月の米ミシガン大学消費者信頼感指数速報値などの発表が予定されています。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)