東京市場まとめ
1.概況
本日の日本市場は大幅下落となりました。日経平均は23円高の23,232円で寄り付くと取引開始から20分余りで99円高の23,308円まで上昇しましたが、上げ幅を縮めると下落に転じ9時50分過ぎには21円安の23,187円まで下落しました。しかし、下げ渋ると持ち直し83円高の23,292円で前場を終えました。
後場は上げ幅を三桁に広げ153円高の23,362円でスタートすると後場寄り直後に167円高の23,376円まで上昇し本日の高値を付けましたが、14時過ぎに安倍首相が辞任の意向を固めたと伝わると急速に上げ幅を縮め下落に転じ大きく下げ幅を広げる展開となりました。14時10分に614円安の22,594円まで下落した日経平均はその後切り返すと23,000円を回復する場面もありましたが、23,000円を上回ったところでは上値が重く再び下げ幅を広げると結局326円安の22,882円で取引を終えています。
こうしたなか新興市場も安く東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って下落となり、東証マザーズ指数は5%近い下げとなっています。
2.個別銘柄等
米連邦準備理事会(FRB)が新しい政策指針を発表したことでインフレ期待が高まり米長期金利が上昇したことで昨日の米国市場でJPモルガン・チェース(JPM)が3%以上上げるなど大手金融株が買われた流れを受けて日本市場でもメガバンクが買われました。三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)が2.0%高、三井住友フィナンシャルグループ(8316)が2.2%高、みずほフィナンシャルグループ(8411)が1.5%高となりました。
また、米国市場でインフレ期待から不動産株が買われた流れを引き継ぎ日本市場でも不動産株に買いが向かいました。三井不動産(8801)が2.2%高、三菱地所(8802)が1.4%高、住友不動産(8830)が1.3%高となりました。
さらに円安を受けて自動車株が高く、トヨタ(7203)は小幅に下落したものの、日産(7201)が2.6%高、マツダ(7261)が2.0%高、SUBARU(7270)が1.8%高となっています。
そのほか材料が出たところでは、DMG森精機(6141)が昨日の取引終了後に上期決算を発表し売上高と営業利益の通期見通しの下限値を引き上げたことで3.5%高となりました。一方で業務スーパーを展開する神戸物産(3038)が7.7%安となりました。7月の売上高は前年同月比14.0%増と二桁の伸びとなりましたが、5月の30.0%増や6月の20.6%増から伸びが鈍化したことが嫌気されました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は326円安となりました。米連邦準備理事会(FRB)が物価上昇率の一時的な2%超えを容認する新しい政策指針を発表したことで低金利が長期化するとの見方が強まり昨日の米国市場でダウ平均とS&P500株価指数が上昇したことで一時は170円高近くまで上昇しましたが、安倍首相が辞任の意向を固めたと伝わると下落に転じ下げ幅を大きく広げ一時は600円以上下げる場面もありました。本日は売り一巡後に持ち直したことで25日移動平均線(22,778円)を引けで上回りましたが、週明けに相場が落ち着きを取り戻し引き続き25日移動平均線を維持できるかがまずはポイントとなりそうです。
来週は週明けに中国の購買担当者景気指数(PMI)の発表があるほか、週末には米雇用統計の発表があるなど重要な経済指標の発表が相次ぎます。来週はこうした経済指標や国内の政治情勢をにらみながらの展開となりそうです。なお、今晩は7月の米個人所得・個人消費支出(PCE)や8月の米シカゴ購買部協会景気指数(PMI)、8月の米ミシガン大学消費者態度指数確報値などの発表が予定されています。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)