【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 28,492.27 △160.35 (8/27)
NASDAQ: 11,625.34 ▼39.72 (8/27)
1.概況
米国市場は高安まちまちとなりました。ジャクソンホール会議での講演でパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が低インフレ期間を相殺するため2%を超えるインフレ期間を容認し、一定期間のインフレ率が平均で2%となるよう目指す考えを示したことで低金利政策が長く続くとの見方が強まりダウ平均とS&P500株価指数は上昇となりましたが、主力ハイテク株に利益確定の売りが出たことでナスダック総合株価指数は下落しました。52ドル高でスタートしたダウ平均は300ドル高程度まで上昇した後昼過ぎに30ドル高余りまで急速に上げ幅を縮めましたが、持ち直すと取引終盤には再び300ドル高余りまで上げ幅を広げました。その後引けにかけて上げ幅を大きく縮めたダウ平均ですが結局160ドル高の28,492ドルで取引を終え続伸となっています。
また、S&P500株価指数も5ポイント高の3,484ポイントと6日続伸となり5日連続で史上最高値を更新しています。一方でハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は39ポイント安の11,625ポイントとなり6日ぶりに反落となっています。
2.経済指標等
4-6月期の米GDP改定値は年率換算で前期比31.7%減と速報値の32.9%減から上方修正され市場予想も上回りました。また、7月の中古住宅仮契約指数は前月比5.9%上昇の122.1となり市場予想を上回りました。一方で先週一週間の米新規失業保険申請件数は100万6000件と前週から9万8000件減少しましたが市場予想ほど改善しませんでした。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は全11業種のうち8業種が上げ、金融と不動産が1%以上上昇しました。一方で3業種が下げ、コミュニケーション・サービスが1%を超える下落となっています。
4.個別銘柄動向
ウォルマート(WMT)がマイクロソフト(MSFT)と中国の動画投稿アプリTikTokの買収で連携すると伝わったことで4%以上上げダウ平均構成銘柄で上昇率トップとなりました。マイクロソフトもTikTokの売却先が数日中にも決まる見通しと伝わったことで2%を超える上昇となっています。また、薬品・医療機器のアボット・ラボラトリーズ(ABT)が米食品医薬品局(FDA)から新型コロナウイルスの抗原検査の緊急使用許可を受けたと発表したことで8%近く上げました。クラウド上でファイル保管・共有サービスを提供するボックス(BOX)も市場予想を上回る決算を発表したことで5%近く上げています。
一方で主力ハイテク株に利益確定の売りが出るなか動画配信のネットフリックス(NFLX)が4%近く下げ、アップル(AAPL)やアマゾン・ドット・コム(AMZN)も1%を超える下落となっています。
5.為替・金利等
長期金利は0.06%高い0.75%となりました。ドル円は106円台半ばで推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
本日の日本市場は米国市場でダウ平均が上昇したことを受けて堅調なスタートが予想されます。安倍首相の記者会見が引け後の17時に予定されていることもあり様子見となりやすいなかで日経平均がどこまで上値を伸ばせるかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)