8月の最終週を迎えています。8月4日付けのコラムでとり上げた「8月相場はもみ合い最終局面へ」に関して、8月が最終局面なら「9月はもみ合いを上に放れるか、下に放れるか」ということになります。しかし、ここにきて難しい判断になりそうです。

4年連続の上放れのシナリオになるか

8月の日経平均は2010年~2019年までの10年間で、月足ローソク足が陽線(月初よりも月末の方が高い)だったのは3回のみです。あとはすべて陰線(月初よりも月末の方が安い)でした。陽線だった3回に関しても、直近のレンジ内で形成したもので、上昇相場を推進するような動きではありませんでした。2020年8月も現時点で陽線ではあるものの、6月高値までのレンジにとどまっています。

ただ興味深いのは、2017年~2019年までの直近3年間は8月までの値固めを経て、いずれも9月頃から上に放れる展開になった点です。そういった意味では、2020年も8月のもみ合いから9月は4年連続の上放れのシナリオは十分に考えられます。

一方、気になる点は、概ね1年間の平均を表す、200日移動平均線(22,010円 8月24日現在)の傾きです。現在の200日移動平均線は横ばいで推移していますが、最近の株価の上値の重さが続くようですと、200日移動平均線はまもなく下落基調に変わってしまい、ネガティブな要因が増えることになります。

過去にはもみ合いのあと急落したケースも

日経平均は3月安値(16,552円)からすでに6,700円程度、上昇している点も冷静に考えると注意しなければいけません。今のようなもみ合い相場は、コロナショックで急落する前にもありました。2019年12月~2020年2月まで続いたもみ合いのあと、2018年10月(24,270円)の高値水準を前に、急落した経緯があります。

今回も6月~8月までもみ合いが続いていますが、絵柄(チャート形状)からみると、直近高値となる1月高値(24,083円)を前に、比較的大きな下げがあっても不思議ではないと思われます。ただ、あったとしても、今のもみ合いがもう少し続いてからではないでしょうか。

マザーズ指数の動きにも要注目

リスク警戒として合わせてみる必要があるのが、マザーズ指数です。堅調に推移していますが、水準的には2018年2月~6月までの相場モミ合い時の下限に相当するところまで上昇しました。一般的には上値のフシとみることが多い水準です。なので、一時的に大きな下げがあるとしたら、マザーズなどの新興市場も含めて下げるのではないかと察します。

最近の米国市場ではNYダウ平均がナスダックに比べ劣勢を強いられています。それが再び逆転した場合、日本株市場ではバリュー株物色が再来し、逆にマザーズを含めたグロース系が不利になると思われます。9月の中間決算を前に、場合によってはバリュー系の高配当狙いに少し逃げておく必要があるようにも思います。