ナスダックに次いで、今後S&P500とダウ平均も史上最高値を更新か

8月18日の米株市場ではS&P500は3381.99ポイントで引けています。2月19日に付けましたS&Pの史上最高値は、2293.52ポイントですから、あと21ポイント上がると、ナスダックに次いでS&P500も史上最高値を更新することになります。

8月18日には、ダウ銘柄ウォールマート(WMT)の決算発表があります。市場のEPS予想は1.24ドル、1年前は1.27ドルです。また、同じくダウ銘柄であるホーム・デポ(HD)も同じく8月18日に決算発表の予定で、市場のEPS予想は3.66ドル、1年前が3.08ドルのため、コロナ禍で大きく売上を増やしただろうという予想となっています。

ウォールマート、ホームデポ、共に8月17日に史上最高値を更新しており、期待感も高いと思いますが、マーケットが好感するような決算を出せば、目先ナスダックに次いでダウ平均も史上最高値を更新するかもしれません。

米国株式市場が上昇している理由としては、確かに米国経済の回復に対する期待感というのはあると思いますが、いくつかのチャート使って現在のマーケットの現状を確認してみたいと思います。

コロナ禍の中でも、事前の市場予想を上回った第2四半期の決算発表

まず、第2四半期の決算発表ですが、直近のデータでは、S&P500社のうち457社、91%の企業が決算発表を終えています。79%の企業が事前予想を上回っており、売上の方も65%の企業が予想を上回っています。6月末時点では、今回の決算発表は44%の減益となる予想でした。それが現時点では33%の減益という、数字自体はとても悪い数字ではあるのですが、事前予想を11ポイントほど上回っています。実は危惧されたほど悪くなかったということも市場に安堵感を与えたのだと思います。

図表1は、S&P500採用銘柄の中で、ポジティブな収益予想を発表した企業の数の推移です。こちらを見ていただきますと、2019年の第3四半期の決算発表があった辺りにポジティブな収益予想をしている会社の数が増えています。ちょうど、S&P500が3,000を超えて、年末の3,200に向かって上がったきっかけとなっている様子が分かります。

【図表1】S&P500とポジティブな収益予想を発表した企業の数の推移
出所: Bloombergよりマネックス証券作成

今回も同じようにポジティブな収益予想を出してきている会社の件数が増えています。2019年の場合と同じように、株価の方も上昇しているということが分かります。

 

投資家センチメントからわかること

次に、投資家のセンチメントについて解説します。(図表2)こちらは、米国個人投資家協会のブル・ベア・レシオ(強気弱気指数)で、期間は過去約10年のものです。ブル・ベア・レシオは逆張り指数と呼ばれており、強気の人が多くなるとマーケットの行方には注意が必要であり、弱気の人が多くなると、逆にマーケットが上がりやすくなるという傾向にあります。

【図表2】AAII ブル・ベア・レシオとS&P500の比較
出所: Bloombergよりマネックス証券作成

オレンジ色の線がS&P500、そして、青色の線がブル(強気)、赤色の線がベア(弱気)の推移となっています。直近では、ブルが30%ですが、過去10年間の平均は36%です。歴史的にみても、個人投資家で強気の人はまだ少ない水準と言えます。

一方、ベア(弱気)の方ですが、現在42%でして、平均は31%です。
つまり、相場は上がっているものの、歴史的にみてもまだまだ強気の人が少なく、弱気の人も多いというのが今のマーケットという事になりまして、さらなる上昇を示唆するものではないかと思います。

現在、FRBの方も十分必要な流動性を市場に提供してくれています。図表3の通り、こちらは米国のマネー・マーケット・ファンドの資産額です。

【図表3】ICI MMF資産
出所: Bloombergよりマネックス証券作成

ピークから若干減ってはいるものの、現在まだ約470兆円もの現金が残っています。470兆円といっても余りイメージがないと思いますが、例としましては、日経225の時価総額は356兆円くらいだと思いますが、日経225採用銘柄を全部買っても100兆円のおつりがくるような金額です。歴史的に見ても莫大な資金があるため、市場の大きな下落と言うのも考えにくいと思います。

バイデン候補 人気上昇:2020米大統領選の行方とは

6月に入ってから、バイデン候補の人気が急上昇といわれていますか、トランプ大統領の人気が落ちて、バイデン候補が上がってきたという事だと考えられます。このところ、バイデン候補がトランプ大統領を大きくリードしてきていると考えられます。

図表4の通り、バイデン候補は58%、トランプ大統領は44%と、バイデン候補が14ポイントほどリードとなっています。

【図表4】トランプ大統領 vs バイデン候補 大統領選挙結果予想(予想確率) 
出所:プリディックトイットよりマネックス証券作成

バイデン候補は、先週カマラ・ハリス議員という、とても理想的な副大統領候補を発表しましたが、トランプ大統領も負けてはいません。

私も少し驚いたのですが、先週末(8月15日)に発表されましたCNNのアンケートでは、バイデン候補の人気は51%、トランプ大統領が42%と、その差は9ポイントのみという結果も出てきていました。トランプ大統領は、先週末のFox Newsのテレビインタビューに電話で出演していたのですが、株価が上がったことをすごく自慢しており、バイデン候補を選ぶと「株価は大暴落するぞ」と力強く話をしていました。

確かに、新型コロナウイルスさえなければ、2020年の1月には米国経済も絶好調であり、彼が再選される確率は非常に高かく続いていたのでしょうから。その株式市場もほぼ史上最高値のレベルです。このまま、株価が上がり、経済の回復も進んでくるとトランプ大統領にとって追い風になり、再選の可能性も高まってきます。しかし、選挙は最後の最後まで分かりません。4年前の大統領選の際も、トランプ大統領が当選するとは、最後の最後まで誰も思っていなかった訳ですから。