米国における新型コロナウイルスの状況
米国では新規の新型コロナウイルス感染者の数が1日65,459人(7日間の平均)の勢いで増える一方となっています。25.6日毎に感染者数が倍になる勢いで増えているカリフォルニア州では、州知事が州の経済を再度閉じるという判断を行い、お店、モール、レストラン、ワイナリーなどの営業を停止するという判断を余儀なくされています。他の州でも経済の再開を遅らせるなどを行っているところが増えてきています。レストランの評価を行うイェルプ(YELP)の直近のデータによると、全米では14万を超えるレストランが未だ営業を停止しているとの事です。
カリフォルニア州、ロサンゼルスとサンディエゴでは、秋から始まるはずの新学期は、子供たちに登校はさせずオンラインで授業を行うという判断を下しています。ニューヨーク州でも学校を再開するに数多くの条件が伴わなければならないとしています
ナスダック総合指数は、これからも上昇するか
その一方で、株式市場はというと、この様な世の中の状況を、全く気にしていないかのような動きを引き続きとっています。
S&P500は、7月に入って先週末(7月17日)までに既に4.01%、ナスダック総合指数も4.42%とそれぞれ上昇しています。ナスダック総合指数は、7月13日に史上最高値を更新、年初からの先週末(7月17日)までに17.1%上昇と、大型テクノロジー銘柄の上昇は、まるで誰にも止めることはできないような勢いです。
先週月曜日(7月13日)には、米株市場、特にナスダック総合指数は、朝方上昇したものの、午後に入り急落しました。この様な調整は、3月23日に付けた今回の最安値から上昇する過程で、何度も起きたテクニカルな調整の一つだと考えます。実際RSIで見ると、ナスダック総合指数は買われ過ぎの領域に入っていましたので、あのような下げは当たり前であり、必要なものと考えます。
ナスダック総合指数は既に史上最高値を更新し続伸している訳ですが、S&P500と比べ収益の成長性が高いからだという当たり前の理由からです。ナスダック総合指数の2020年の予想EPSの成長率は27%、2021年は39%の伸びが予想されています。S&P500の場合、2020年の予想EPSは18%の増益、2021年は29%となっています。
では、バリュエーションの方かどうかというと、ナスダック総合指数の過去20年間の平均予想PERは27.3倍です。現時点の予想PER38.8倍と歴史的にみると割高となっていますが、株価は1年先の収益を意識し動くことが考えると、現在の予想PERよりも2021年のバリュエーションの方が大切です。2021年の予想EPSで計算した予想PERは27.9倍となり現在のマーケットの割高感は大きく減ります。2022年の予想EPSを使ったバリュエーションですと23.2倍となります。
マーケットは1年先の収益をベースに取引されることを考えますと、ナスダック総合指数は早ければ2020年の年末、遅くとも2021年の前半には過去の平均予想PERである27倍、つまり、12,232(現在より17%上)まで上昇すると考えています。
米国株決算動向:新型コロナウイルスの影響が心配されたが、86%の企業が事前予想を上回る決算発表
第2四半期の決算発表はこれまでのところ、S&P500の45社が決算発表を終えています。
事前予想によるとS&P500は、前年同期比で43.65%の減益と見られていましたが、これまでのところ19.64%の減益と思ったほど悪くないというのが現状、加えて、86%の企業が事前予想を上回る決算発表を行っており、市場に安堵感を与えています。
7月20日週、注目の決算:マイクロソフト(MSFT)、テスラ(TSLA)、ツイッター(TWTR)
今週(7月20日週)ナスダック総合指数の方向性を決める決算発表は、7月22日(水)のマイクロソフト(MSFT)とテスラ(TSLA)、そして23日(木)のツイッター(TWTR)辺りではないかと思います。
テスラについては、今期黒字の決算を出すとS&P500指数に採用される可能性が高まることもあり要注意となります。
ナスダック総合が調整、もしくは、S&P500をアンダーパフォームすることがあるとすれば、それはコロナウイルスのワクチン開発のポジティブな展開を受けて、テクノロジーセクター以外の銘柄が買われる局面だと思います。
今週注目すべき決算発表は、7月21日(火)のコカコーラ(KO)、7月22日(水)のマイクロソフト(MSFT)、テスラ(TSLA)、23日(木)のAT&T (T)、24日(金)ベライゾン(VZ)などがあげられます。