【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 26,734.71  ▼135.39 (7/16)
NASDAQ: 10,473.83  ▼76.66 (7/16)

1.概況

米国市場は米新規失業保険申請件数が市場予想ほど改善しなかったことで雇用回復鈍化を懸念した売りで反落となりました。123ドル安でスタートしたダウ平均は下げ幅を縮めると一旦プラスに転じましたが、9ドル高で上値が押さえられると再び下落に転じ下げ幅を広げる展開になりました。取引終盤に280ドル安まで売られたダウ平均は引けにかけて下げ幅を縮めたものの結局135ドル安の26,734ドルで取引を終え5日ぶりに反落となっています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も76ポイント安の10,473ポイントと3日ぶりに反落となりました。

2.経済指標等

先週一週間の米新規失業保険申請件数は前週比1万件減の130万件となりましたが市場予想ほど改善しませんでした。一方で6月の米小売売上高は前月比7.5%増となり市場予想を上回りました。7月の米フィラデルフィア連銀製造業景況指数も24.1と前月から低下したものの市場予想を上回っています。7月の全米住宅建設業協会(NAHB)の住宅市場指数も72となり市場予想を上回りました。5月の米企業在庫は前月比2.3%減となり市場予想と一致しています。

3.業種別動向

業種別S&P500株価指数は全11業種のうち情報技術や不動産、エネルギーなどの6業種が下げ、情報技術と不動産が1%以上下落しました。一方で公益事業や素材、コミュニケーション・サービスなどの5業種が上げ、公益事業は1%を超える上昇となりました。

4.個別銘柄動向

ボーイング(BA)が投資判断の引き下げを受けて5%近く下げダウ平均構成銘柄で下落率トップとなりました。また、バンク・オブ・アメリカ(BAC)も決算が新型コロナウイルスに関連した貸倒引当金の積み増しで大幅減益となったことで3%近く下げています。電気自動車のテスラ(TSLA)もカリフォルニア州での4-6月の車両登録数が前年のほぼ半分に落ち込んだとの発表を受けて3%近く下げています。

アメリカン航空グループ(AAL)は全従業員の約2割にあたる2万5000人を解雇する可能性を社内に通知したことが明らかとなったことで7%以上下落しました。他の空運株にも売りが波及しデルタ航空(DAL)が4%以上下げ、ユナイテッド航空ホールディングス(UAL)も5%余り下げています。さらに取引終了後に決算を発表した動画配信のネットフリックス(NFLX)は7-9月の契約者数の伸びが大幅に鈍化する見通しを示したことから時間外で大幅に下落しています。

一方でモルガン・スタンレー(MS)は決算で1株利益が市場予想を上回ったことで2%を超える上昇となりました。

5.為替・金利等

長期金利は0.02%低い0.61%となりました。ドル円は107円台前半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

米国市場は下落となったものの、昨日の日本市場が米国市場に先行する格好で下げていることから本日の日本市場は小動きでのスタートが予想されます。こうしたなか本日も新型コロナウイルスの感染者数の動向などに神経質な展開となりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)