52週MAで考えるユーロ高シナリオ

ユーロ/米ドルは今週に入り一段高となり、15日には一時1.14米ドルを大きく上回る動きとなった。14日にNYダウが500米ドル以上の大幅高になると、このようにユーロ高・米ドル安も大きく進むといった動きは、これまで何度か述べてきたような「米ドル・キャリー取引」、安く調達した米ドルを売って株式等に投資することで起こる基本的な「株高・米ドル安」の組み合わせを示しているといえるのではないか。

こういった中で、ユーロ/米ドルは5月末以降、52週MA(移動平均線)を上回る動きが続いている(図表1参照)。経験的には、このように52週MAを1ヶ月以上といった具合に長く上回る動きは、上昇トレンドが展開している可能性が高い。

【図表1】ユーロ/米ドルと52週MA (2000年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

また過去の実績を参考にすると、上昇トレンドが展開している場合は、52週MAを1割以上上回る可能性が高い。足元のユーロ/米ドルの52週MAは1.105米ドル程度なので、それを1割上回るなら1.2米ドルを目指すといった計算になる。

このような対米ドルのユーロ高に連れられ、ユーロ/円も上述のユーロ/米ドルとほぼ同様に5月末以降おおむね52週MAを上回る動きが続いてきた(図表2参照)。経験的には、ユーロ/円の上昇も一時的ではなく、上昇トレンドとして展開している可能性が高まっている。

【図表2】ユーロ/円と52週MA(2000年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

元のユーロ/円の52週MAは119.5円程度。上述のユーロ/米ドルのように、ユーロ/円も52週MAを1割上回る動きに向かうなら130円を目指す計算になる。

ただ、このようなユーロ高の「震源地」が、「米ドル・キャリー取引」、株高、リスクオンを前提とした米ドル売りの結果ということなら、目先的に株に「上がり過ぎ」懸念があり、その修正で株安となった場合は、米ドル買い戻しの結果、ユーロ安に戻る可能性はあるだろう。

経験的にトレンドと逆行する一時的な動きは52週MA前後までがせいぜい。それを参考にすると、ユーロ/米ドルは1.105米ドル程度、ユーロ/円は119.5円程度が目安になるだろう。