◆カリスマホストのROLANDさんが、運営する歌舞伎町のホストクラブ『THE CLUB』の閉店を発表した。「現在の世間の状況の元、スタッフ達の安全を確保し、かつお客様に喜んで頂けるよう運営する事は困難であると判断したためです」と理由を述べた。従業員は自身が運営するホスト事業以外の会社への異動を促しているほか、ホストを続けたいという従業員については他店への移籍をあっせんしているという。さすがROLANDさんである。なかなかできることではない。

◆先週10日の段階で東京での新型コロナウイルスの感染者は新たに243人と連日200人を超え過去最多を更新した。10日に確認された243人のうち、ホストクラブなど夜の街に関連した感染者は110人。西村経済財政・再生相は、「夜の繁華街」対策を巡り小池都知事らと会談し、対応策をまとめた。それには夜の街の事業者に補助金も活用しつつ、感染防止策を講じるよう協力を求めるというものも含まれる。もどかしいようにも感じるが、自分が当事者だったらどうか。「夜の街」で生きる人たちにも生活がある。誰もがROLANDさんのような英断ができるわけではない。

◆感染の「第2波」が懸念される状況である。政府や自治体の政策を巡って様々な意見がメディアを通じて流れてくる。専門家もいればまったくの門外漢もいる。どの意見を信じたらいいのか。何が正しいのか。結局は自分自身で判断するしかないだろう。これは投資判断にも通じるところがある。強気を言うストラテジストもいれば弱気を言うエコノミストもいる。誰の意見を信じるか。最後は自分の判断である。

◆相場の見方が分かれているときも難しいが、もっとも難しいのは世間の見方がひとつに偏っているとき、自分の意見がそれと違う場合だ。世の中が総悲観に傾くなか、ひとり強気のスタンスを貫くのは勇気がいる。そんなとき、僕はROLANDさんの言葉を支えにしている。「100人が100人ダメと言っても、その100人全員が間違えているかもしれないじゃないか」(『俺か、俺以外か。ローランドという生き方』(KADOKAWA))