第2四半期、株式が債券を大きくアウトパフォーム
S&P500は先週1週間で2.9%の下げ、ダウ工業株指数やナスダック指数もそれぞれ3.3%、1.9%の下落となっています。
先週は米国での新型コロナウイルスの新規感染者数が約2ヶ月ぶりに過去最高を記録したとの発表のなか、米国経済の正常化が遅れるとの懸念が浮上しました。
6月24日、7月17日にオープンの予定でしたロサンゼルスのディズニーランドの再開は延期となりました。アップルは6月19日にアリゾナ州やフロリダ州など4つの州で11のアップル・ストアの店舗を閉めたと発表しましたが、先週は新たに2つの州で21の店舗を閉めることになりました。また、マイクロソフトは83のマイクロソフト・ストアを全店恒久的に閉鎖し、今後はオンラインストアに特化すると発表しました。
6月30日には第2四半期の3ヶ月間が終わることになりますが、S&P500の6月26日までの今期のリターンは16.4%です。因みに現時点における今期の上昇率は1998年の第4四半期来のベストの3ヶ月のリターンで、1928年からでは10番目のベストの3ヶ月となっています。債券が株式をアウトパフォームした第1四半期と違い、第2四半期に株式が債券を大きくアウトパフォームしたことで、今回の期末は株式の投資家にとってちょっと嫌なことがあるかもしれません。
株売り債券買いのアセットアロケーションが起きるか
年金運用の世界では、アセットアロケーション(資産配分)の方針に沿ってそれぞれの資産の配分を決めているわけですが、特定の資産が想定的に増えた場合、配分の調整を行う必要が出てきます。今年の第1四半期に米国株が大きく下落した際には、米の年金基金は債券資産を売却し、株式資産を買うというリバランスの動きにでました。歴史的に債券と比べて株式が大きく上昇した今期末には、今回逆の動きがでるとみられています。つまり、株式買いの債券売りです。
このような動きは決して年金だけでなく、株式と債券に投資する投資信託のバランス・ファンドでも同じようなことが起きるはずです。通常バランス・ファンドでは、例えば株式6割、債券4割といったような資産の配分が決められており、株式の価値が債券より上昇して6割分を超えた分の株式を売却し、債券を買い、6:4の割合に戻す動きを取ります。
今回のリバランスにより年金基金が売却されるだろうと言われている株式資産の金額の幅は350億ドル(約4兆円)から760億ドル(約8兆円)と言われています。
ウエルスファーゴ証券の予想では、今回のリバランス額は過去6年間で最も大きくなるだろうとしています。
ただし、JPモルガンの試算によると、今回のアセットアロケーションがS&P500のリターンに与える影響は0.7%~1.9%程度ではないかという試算もあります。
また、最近のデリバティブマーケットでの動き等を勘案すると、このようなリバランスは既に行われた可能性もあると言います。
いずれにしても、このリバランスは、アセットアロケーションの方針に基づいて機械的に行われている訳で、今後の米国株の見通しが悪いという理由で行われている訳ではありません。そういった意味で、今回のアセットアロケーションの米国株売りにより、株式市場が下がったとするとそれは、投資家にとって買いの機会を提供してくれることになると思っています。
金曜日にS&P500が下落する時の傾向
先週のマーケットはちょっと嫌な感じで終わりましたが、最後に一つ、明るい話をご紹介したいと思います。歴史が繰り返せばということですが。
6月26日(金)にはS&P500は1日で2.4%下落しましたが、これがその後相場にとって良い事かもしれないのです。歴史的に金曜日にS&P500に2%以上下落すると翌月曜日、翌週、翌月は株価が高いという傾向があるのです。
過去10年間のデータですが、金曜日にS&P500が2%以上下がった翌月曜日は71.4%の確率で平均1.58%上昇しています。2%以上下がった翌週は、85.7%の確率で5.1%上昇。また、その後の1ヶ月間では、88.9%の確率で10.5%上昇となっています。今回もそうなることを期待したいですね。